【お勉強:経済】ヘリコプター・マネー

【お勉強:経済】ヘリコプター・マネー
2016年07月20日(水) 晴れ

 今日も朝から一仕事終えた。マメちゃんの下の世話である。囲いの中に入れていてもモヨオしそうにないので、昨日同様、2階の私の部屋に連れて行き、しばしジャレさせて遊ぶ。犬の習性として運動した後には便意をモヨオす事が多いそうであるが、マメちゃんもその傾向があるらしく、暫く戯れた後に、昨日のお漏らしの場所で匂いを嗅ぎ出したかと思ったらオシッコをした。本日は半ば覚悟していたので、ゆっくりと為すが儘にさせていたところ、続いて踏ん張り始めてウンチをした。今日は目撃していたので慌ててスリッパで踏む事もなく、ティッシュで拾ってちゃんと処分。もうこれで安心と思い、暫くジャレ続けさせていたら、何と、またウンチ。これも落ち着いて片付け、あとは1階に戻って自由に遊ばせてやった。勿論、念の為にマメちゃんの後ろから着いて回る。結構 家の中を走り回って満足したのか、囲いの中に戻したら眠り始めた様である。

1 我が家の愛犬・マメちゃん

 さて、本日は、ネット記事で見つけたヘリコプター・マネーについて書いてみる。私も今月になって初めてネットで読んだ言葉なので、うまく説明できるかどうか分からないが、取りあえず書いてみる。まずは前提知識として、実体経済と金融経済のお話を思い出す。
実体経済と金融経済
 以下は、1年半前に私が書いた「実体経済と金融経済」についての記事。
  経済のお勉強『実体経済と金融経済』
 お金の使い途は、大きく二つに分かれる。

種類      内容 世の中の豊かさの度合いを表すGDP(国内総生産)との関係
実体経済 商品(生産物、サービス)の売買に流れるお金の世界。生産者は商品を作って、売って、稼ぐ。消費者は稼いだ金で商品を買う。これにより、稼いだ金が次の生産→消費→所得のサイクルに回るため、このサイクルが回れば回るほど、経済規模が拡大して行く。 実体経済で流れる1年間のお金の総額=GDP
金融経済 資産(不動産、債権、預貯金など)の売買に流れるお金の世界。単に売り手と買い手の間でお金と資産が交換されて移動するだけなので、総資産が増える訳でも減る訳でもない。何も新しい付加価値を生まない。つまり、幾ら金融経済でお金が動いても世の中の豊かさとは無関係。 金融経済で流れるお金の額とGDPとは無関係。むしろ、実体経済に流れていたお金が減り金融経済の方に流れてしまえば、実体経済のお金の総額であるGDPは低下する。

■デフレ(デフレーション
 現在の世界の主流となっている経済学理論は、古典派経済学であるが、この理論は、インフレ状態(需要>供給、モノ不足)を前提にした理論である。即ち、「商品と言うものは生産しただけ必ず売れる。」と言う非現実的な条件を前提にした経済理論である。この「商品は生産しただけ必ず売れる」と言うのが「セイの法則」と呼ばれるものである。従って、古典派経済学は、インフレ期には合致する経済理論であるが、現在の様なデフレ期(需要<供給、モノ余り)の事は説明できな経済理論である。しかるに、現在の主流経済学者は古典派経済学を信奉しているため、現在のデフレ期に正しい経済政策が打てず、間違った政策ばかりを政府に進言し、政府もそれを鵜呑みにして推進するため、経済状態を更に悪化させている

■日銀による大失敗の金融緩和施策
 上記のとおり、主流派の経済学者は、財務省官僚、日銀を含め古典派経済学に染まった人達ばかりであり、現在のデフレの原因については、「作ったら必ず売れる」というセイの法則を前提にしているため、「作っても需要がないから売れない」、つまり、「需要不足」とは絶対に言わない(多分、分かってはいるのだろうが)。じゃあ原因は何だと言っているかというと、「貨幣現象だ」と言っている。具体的に言うと、「市場に流通している貨幣の量が足りないから買いたい物も買えない。それが物余りの原因だ。」と言っているのである。だから、その対策は、「市場に流通する貨幣を増やせば良い。」と言うトンチンカンな施策になってしまうのである。これが、ここ数年、日銀がせっせとやっている金融緩和策である。金融緩和策とは、平たく言えばお金(日本銀行券)を発行する事。ただし、日銀は何の理由もなく一方的に通貨を発行する事は出来ない(認められていない)ため、「日本国債を買い取る」と言う形で、支払い代金として日本銀行券を発行するのである。ちなみに、日本銀行券の発行と言っても、造幣局で紙幣を印刷する訳ではない。日本国債を日銀に売ってくれる相手が日銀に開設している当座預金の残高を支払い代金分だけ加算すると言うコンピュータ上の処理をするだけで支払いをした事にするのである。これが日本銀行券を発行するという事である。造幣局で紙幣を印刷するのは、日本銀行券の発行ではなく両替に過ぎない。紙幣と貨幣を交換する(両替する)のと同じく、口座のお金(コンピュータ上の数字)をATMから紙幣として引き出すのと同じ様なものであり、日本の通貨発行総額は増減しない。だから日本銀行券の発行ではない。
 ついでに言うと、コレは経済学者も含めて殆どの人には知られていないらしいが、日銀だけではなく、一般の銀行が民間企業や個人に融資をする場合も、日銀の国債買取りの時の操作と同じ様なものである。何が同じかと言うと、例えば、A銀行が会社Xに1億円融資する場合、A銀行は、会社Xに1億円分のお金を何処からか調達してきて渡す訳ではない。お金は一切渡さない。どうするかと言えば、会社XがA銀行に開設している口座の残高に1億円を加算する(多分、実際には、1億円の利子分を減額した残額分を加算する)だけである。つまりコンピュータ上の数字操作だけである。じゃあ、その融資した1億円はA銀行が保有していたお金(例えば、A銀行の資産やA銀行のお客様の預金)から貸し出すかと言うと、そうではない。日銀が国債を買い取る時に、元々日銀が保有していたお金の中から支払ったのではなく、単に相手先の口座に数字を加算して「無」からお金を生み出したのと同様に、A銀行も、融資先の会社Xの口座残高に数字を加算して「無」からお金を生み出したのである。そんな馬鹿な事が出来る訳ないだろうと素人は思うが、それが出来るのである。そういう決まりになっている。これを経済用語で、「信用創造」と言う。じゃあ、無条件に幾らでも「無」からお金を生み出していいかと言えば、そんな事は勿論ない。預金準備率と言う数字を日銀が設定するが、各金融機関は、融資可能総額を決め、その融資可能総額に対する預金準備率相当額を日銀に開設した各金融機関の当座預金口座に預金しておきさえすれば、融資可能総額を上限として「無」からお金を作り出して融資出来るのである。例えば、現在の預金準備率が1%だったとするなら、A銀行は、最大10兆円まで融資したいと決めたら、自行の日銀当座預金に1,000億円(10兆円の預金準備率1%相当額)を預金してさえいれば、10兆円まで信用創造で「無」からお金を生み出して融資して良いことになっている。ただし、日銀と一般の金融機関の違いはある。日銀は「無」から生み出したお金について、最終的に帳尻を合わせる(生み出したお金分を将来減らして総額を元に戻す)という必要は無いが、一般の金融機関は、融資額を返済して貰った時点で帳尻を合わせる(信用創造した金額分を返済して貰ったお金で穴埋めしてチャラにする)必要がある。
 話が脱線したので日銀の金融緩和の話に戻す。日銀を含む主流派の古典派経済学に染まった人達は、デフレの原因は市場の金が足りない事だと結論付け、金融緩和策でお金の量を増やしたのは良いが、本当のデフレの原因は、流通する貨幣量の不足ではなく需要の不足なのだから、需要を増やす施策を打たない限りデフレは解消する訳がない。じゃあ、金融緩和で増やしたお金はどうなったかと言うと、民間金融機関の日銀当座預金残高が増え、その分、融資可能上限額も増えたのだが、肝心の融資先企業は、需要不足で在庫過剰になっているので、売れないのに設備投資して生産力を上げる必要もないため融資を受ける必要もない。むしろ、稼いだ利益を借金返済に回したり自社株を買ったりすることになり、実体経済にはお金が回らず金融経済の方にお金が流れる結果になる。金融機関の融資先も金融経済関連の融資先に回る。そうなると、みんなが買うから株価は上がるし、円の発行量が増えれば為替レートは当然 円安になるから、これは買い得だと言って海外投資家も日本株を買う。益々、株高が進む。それにより、一時的に株高になり、年金運用しているGPIFは運用益出したと言って安部政権が胸を張って自慢してみたはイイが、円安により輸入品の価格は上がり一般消費者は家計にダメージを食らうは、おまけに消費税8%増でダブルパンチ。その結果、財布の紐が締まり、需要が更に冷え込み、金融緩和策で2年後にインフレ率2%向上と言う目標を立てた日銀は、2年後には逆にデフレが進んでしまった。消費税8%増税時に経済への影響無しと口を揃えて公言した偉い経済学者の先生方は、誰も「間違えました」と謝りもしない。安部政権は、経済が上向いて来たとトンチンカンな事を未だに言い続けているのが実態である。そのうちに、株高のところで海外投資家が利益確保のために売りに転じたため、GPIFは儲けた金は何処かに飛んでしまい、総額10兆円を超える損失を出しているらしい。でも、安部政権は参院選を控えて、損失の公表など絶対にしない。とまあ、それが日本の現実である。 なんか、愚痴のオンパレードになったので、この辺で止めておく。

■ヘリコプター・マネー
 やっと、本日の本題に戻って来た。上の例で言った様に、幾ら金融緩和で貨幣量を増やしても、これが金融経済ではなく実態経済に回らない限り、経済は上向かない。そこで、偉い経済学者であるフリードマンと言う人(多分、古典派経済学)が、理論的には、全ての市民にムラ無くお金を配れば、需要が喚起されモノを買う様になるから、物価が次第に上昇し、デフレ脱却してインフレに持って行けると言う説を出したらしく、「全ての市民にムラ無くお金を配るには、ヘリコプターを飛ばして空からお金を全ての市民にムラなく行き渡る様に配れば良い。」と言う様な事を言ったらしい。それがヘリコプター・マネーの言葉の由来である。
 ヘリコプター・マネーについては、以下の記事が参考になる。
  「ヘリコプターマネー」導入で日本が操縦不能になるシンプルな理由=東条雅彦