経済のお勉強『実体経済と金融経済』


経済のお勉強『実体経済と金融経済』
2014年12月3日(水) 晴れ
更新:2024年2月19日(月)
 
経済に無知なこの私も、最近は、少しずつ経済に関係する記事をインターネットで拾い読みするようになった。
とにかく、経済学(学説)と言うものは、自然科学とは違って、絶対というもの(正解)が無い。
「ある時」には正しかった学説が、「別のある時」には正しく無いという様に変わるのである。
 
また、現実の世界で起こる経済現象は、その時々の、色んな要素が複雑に影響し合って変化するので、とても分かりにくい。
 
そこで、自分の頭を整理する目的で、これから少しずつ、このブログで、分かり易いメモを作っていこうと思う。
「他人が読んでも分かって貰えるか」という点を意識しながら、メモの内容・表現を錬ることで、「自分自身が、自分なりに理解できているのか?」という事を確認できると思うので、極力、分かり易い表現・内容にしたいと思う。
 
■経済とは
 
経済」という言葉は、実は「経世済民(けいせいさいみん)」と言う言葉の略語なんだそうである。
その経世済民とは、「世の中をうまく経(おさ)めて、民を済(すく)うこと」なのだそうである。
早い話、「世のため人のために行うこと」という意味だそうである。もしかしたら、子供の頃に学校の教科書に出て来た言葉なのかも知れないが、私の記憶には全くない。
 
■物々交換から貨幣経済へ
 
これから書くことは、私なりの「想像」を混ぜて作文したものなので、間違っているかもしれないが、「まあ、大きく外れてはいないだろう」と勝手に思い、自分で納得している内容である。
 
世の中をお金が循環すると何故、暮らしが豊かになる(経済が発展する)のか?
と言う素朴な疑問について、思いを巡らせてみた。
 
まずは太古の昔、世の中にお金(貨幣)と言うもの(概念)がまだ無かった時代、人々の生活の出発点は自給自足であり、自分達の食べる物は、狩猟や農耕により自分達で調達していたと思う。
やがて、人々は、余分に調達した食べ物を物々交換することを覚え、分担(分業)の概念を身に付けていったと思う。
この分業交換により、より多くのものが手に入る様になり、生活の幅が広がっていったと思う。
 
そして、「分業」による「交換」の文化が根付いてくると、次には
「交換」の対象範囲を広げたい
という欲求が高くなり、交換相手との距離的な制約や会う時間の制約などを緩和出来ないものかと考え始め、
1対1の交換」から、「1対多の交換」、「多対多の交換」という交換形態が生まれ、
市(市場)が形成される様になったと思う。
 
そうなると、交換する「物」をお互いが市に持ち込んで物々交換すると言うのでは、効率が悪いと感じ始め、
ある手軽な「媒体」を介することで、交換取引を楽にし、物の受け渡しは、「物」と「物」の交換ではなく、「媒体」と「物」の交換をするという形で行う方法が考え出されたのではないかと思う。
 
この「媒体」が貨幣(お金)であり、貨幣が人の間を循環する様になったのだと思う。
これが貨幣経済の始まりだろうと思う。
 
貨幣の出現により、確かに生活の幅が広がり暮らしが豊かになっていったと思う。
 
ここまでで、「世の中をお金が循環すると、暮らしが豊かになる」と言うことが半分は分かったと言うことにしよう。
 
【2024/2/19追記】
この記事を書いた時点では何も知らなかったのだが、その後、落合莞爾(おちあいかんじ)先生のインターネット講座「インペリアル・アイズ」を受講し、この「貨幣経済」を始めたのは、1万年前に終わった最後の氷河期(ヴュルム氷期)を中央アジアの高山地帯(氷結しなかった地域)で生き抜いた人類であった事を知った。
彼等は、氷河期の厳しい高山地帯での生活をするために、「分業」と「交換」の智恵(文化)を既に持っていたそうであり、交換を仲介するモノ(現在の貨幣相当)を既に使っていたそうである。それは、「黄金」と「罌粟(けし)」であったそうである。「黄金」と「罌粟」は等量等価(例えば、黄金1gと罌粟の粉(麻薬)1gは等価)としていたそうである。
黄金は、稀少価値があり、腐らず、加熱により容易に形を変えられる事、罌粟は人間の生老病死に効能がある事を、厳しい環境で生き抜いて来た彼等は知っていたそうである。
彼等の事を、落合莞爾先生は「ウバイド人」と名付けられた。
詳細は、以下を参照すると良い。
 【國體】氷河期後の地球人類をリードする「ウバイド」の起源
因みに、現在の地球人類には以下の分類があるそうであるが、日本皇室、スコットランド王室の方々(男性)は、ウバイド人だそうである。
 ●ウバイド
 ●タカス
 ●各地域の人類(縄文人、ケルト人、パプアニューギニア人、等々)
こちらについては、鍋島直亮さんの情報発信サイト(以下)が参考になる。但し、有料記事が多いので、興味ある記事を読みたい場合は、自己負担で読まれたし。
 鍋島直亮の國體ワンワールド史観な話
 
次に、循環するお金の「量」が増えれば増えるほど、暮らしの豊かさも大きくなるという点について考察してみる。
時代は、近代あたりまで一気に進めるとする。
 
分かり易い例として、米作を考えてみる。
例えば、ある広さの耕地を所有している農家が、米作で生計を立てていると想定する。
 
この農家では、1年かけて米を育て、収穫して市場で売った場合に、例えば、売上高が1千万円、米を育てるためのコスト(肥料や農工具に掛かる費用など)が3百万円、手元に残るお金が7百万円だったとする。
この時、1千万円のお金が世の中を循環した訳であり、
 (1)うち、7百万円が農家の手元に回って来て、
 (2)3百万円が肥料メーカや農工具メーカの売上高として渡った訳である。
 
農家にとっては、(説明を簡単にするために自分の労働力への対価は考えないことにすると、)元手(資本金)3百万円で売上1千万円を稼ぎ、7百万円の利益を得たと言うことになる。
 
そこで、この農家はもう少し利益を増やしたいと考えて、1年に2回(米作→収穫)を行うことにしたとする。いわゆる「米の二期作」である。
1回目の米作の利益7百万円の中から、3百万円を2回目の米作の元手として使い、同様に1千万円の売上を稼いだとすると、
1年間の利益は、
 (1000万−300万)+(1000万−300万)=1400万円
と言うことになり、利益倍増となる。
 
300万円の元手(資本金)を、1年間に1回転させた場合は700万円の利益、2回転させた場合は、2倍の1,400万円の利益が出たと言うことである。
 
この事は、「肥料メーカ」や「農工具メーカ」も同じであり、年に2回発注を受ければ倍の売上と利益が出る訳である。
この例で分かるとおり、循環するお金の「量」が増えれば増えるほど、利益も増え、その結果、暮らしも より豊かになることが分かった。
 
■「実体経済」と「金融経済」
 
こんな言葉は、今まで聞いた事も無かったのだが、『現状、両者に乖離がある』と言う記事を最近読んで、なるほどと思ったので整理してみる。
 
《実体経済》
実体経済とは、現実の「生産」や「消費」についての経済活動のこと。
分かり易く言えば、企業が商品(物やサービス)を作り出して売り、消費者がそれを買って使うことにより、より良い生活を送れるようになること。
 
また、
それ(=生産と消費)を通してお金が世の中を循環することにより、
 ➪売上や利益として企業に戻ってきたお金は、更なる生産を促し
  ➪生産作業の報酬として従業員である消費者の手元に回ってきたお金が更なる消費に繋がる
 
と行った具合に流れて、さらに豊かな生活が送れる様になると言った類の話のことであるらしい。
 
ここで、消費者がこの商品を買いたい、必要だと言うのが「需要」であり、
需要に対して、企業が商品を作り出して世の中に送り込むのが「供給」である。
 
この時に重要になるのが需要」と「供給」のバランスである。
(1)需要供給」という状態は、「供給」が「需要」に追いつかない状態であり品不足の状態である。
 ●当然、消費者は競って商品を買うことになるので、価格は上昇する。
  この状態をインフレーション(略してインフレ)と言う。
 
(2)逆に、「供給需要」という状態は、需要(必要量)以上に商品が供給されている状態でありモノ余りの状態である。
 ●作った「モノ」は、売ってお金に換えないと無駄になってしまうので、企業は競って売ることになり、当然、価格は下がる
  この状態をデフレーション(略してデフレ)と言う。
 
日本は、1991年のバブル崩壊以降、デフレに陥ったまま抜けきれず、「失われた20年」などと言われている。
単純(お気楽)に考えると、デフレになれば価格が安くなっていいじゃないかと思いがちだが、そんな単純な話ではない。
 ➪「モノ余り」が続けば、「在庫が増える」ので、企業は生産量を抑制する。
  ➪当然ながら、設備投資して工場を拡張し生産量を増やそうとか、研究投資して生産効率化を図り より多くの商品を作れる様にしようとか言った意志も弱まるし、
  ➪従業員も余剰人員が発生するので、「賃金カット」や「人員整理」の方向に向かう。
   ➪そうなると、従業員の報酬は減るは、失業者は増えるはで、
    ➪益々、消費者の購買意欲が低下し、需要の落ち込みが更に進む。
     ➪生産量抑制や設備投資抑制をすると、仕入先業者への原材料発注が減るし、設備メーカへの発注も減る
 
こうして、負の連鎖が起こることで、益々デフレは深刻になり
 ➪そのうちに、企業の生産能力低下技術開発力低下従業員削減スキル継承の途切れが進み、
  ➪やがて、企業の存続が怪しくなる事態にまで追い込まれてしまう。いわゆる発展途上国への逆戻りである。
 
経済関連で各所から引っ張りだこになっている経営コンサルタントの三橋貴明さんが、面白い話をしていた。
『経済発展度の観点から、世界の国を4分類することが出来るが、それは、「先進国」、「発展途上国」、「日本」、「アルゼンチン」の4分類だ』
と言っていた。
「先進国」と「発展途上国」は、言葉通りだから分かるとして、「日本」と「アルゼンチン」とは何のことかと言うと、
  ●日本・・・・・・・「発展途上国」から、急速に「先進国」になって行った国
  ●アルゼンチン・・・日本とは逆に、かつての「先進国」が、「発展途上国」に逆戻りした国
なのだそうである。
これは他人事ではなく、今の日本のデフレが長く続くと、同じ運命が待っていると言うことであるらしい。
 
デフレ状態を脱却するには、とにかく何とかして需要を拡大するしかない
・・・・とは言っても、デフレ状態にある現在、モノを買おうにも消費者(国民)の実質賃金は低下の一途を辿っているし、
・・・・追い打ちを掛ける様に、政府は消費税を8%に上げ
・・・・さらに、今回の衆議院選挙で過半数を取れたら、公約に掲げている政策が支持されたと見なし、2017年には、景気の如何に関わらず。無条件に消費税を10%に上げると公言しており、
消費税増税と言うデフレ対策とはまったく真逆の政策を推し進めようとしている。
 
そもそも、こういうデフレ状態の時には、民間が需要を喚起するのは無理であり、政府が手を打つしかない。具体的には、
 ●公共投資を増やすとか、
 ●「賃金引き上げ」に繋がる制度改革をするとか
である。
 
現在、「介護」に関しては人手不足が問題になっているが、
実態は、人手が足りないのではない。
 ➪介護資格を持っている人は沢山いるが、
  ➪余りにも介護報酬が低過ぎて、労働に見合う報酬レベルになっていないので
   ➪介護の仕事に就く気になれなくて、他の仕事に回ってしまっている。
と言う問題なのである。
 
「土木建設業界」が人手不足になっているという問題も同じ。
 ➪仕事が無いので、土木建設業者が投資を控えたり廃業したりして、これまでに土木建築業者数が相当減ってしまったと言うのが実情らしい。
ここでもし、
 ●政府が、長期的な公共投資計画を発表したりすれば、
  ➪土木建設業者も、安心して投資を再開すると言う方向に進むと言う経済学者もいる。
それなのに、
 ▼政府は、「国債発行残高が膨大で、財政破綻の危険性がある」として、
  緊縮財政を目指し公共投資予算を削る らしい。
本当に、デフレ対策とは真逆のことばかり行っている様に見える。
 
そもそも、
 ▼今このデフレの時期に緊縮財政などする必要は全くなく
  建設国債をどんどん発行して公共投資を拡大しなければならない時である。
 
ただし、昔の自民党時代の様に、
「全都道府県に空港を整備する」とか訳の分からん事をやって、無駄な投資をするのは以ての外であり、
日本に一番欠けている「安全保障の充実を目的とした公共投資」を進めれば良いのである(と三橋貴明さんは言っている)。
 
安全保障とは、何も「国際紛争対策的な話」だけを言ってるのではなく、
 ●災害対策とか、
 ●そのための東京一極集中の緩和とか、
 ●そのためのインフラ整備(基幹ルートが災害で遮断された時のための基幹高速道路網・新幹線網の二重化(太平洋側ラインと日本海側ライン)とか、
 ●震災時に倒れて交通麻痺の原因となることが経験で分かった電柱の地下埋設化とか
を進めれば良いのである(と、これも三橋貴明さんが言っている)。
 
《金融経済(資産経済とも言う)》
一方、金融経済とは、金融取引についての経済活動のこと。
 
一番分かり易い例は、株式売買である。
こちらは、実体経済とは異なり、商品の生産や消費という実態を伴わずお金が一部の人の間で移動するだけの世界であるため、
 ●何も付加価値は生まれないし、
 ●「株式市場」が盛況になったり、「株価」が上がったからと言って、国民の報酬(総所得)が増えたり国民の生活が豊かになったりする訳でも無い
 
そもそも、株式売買と言うものはゼロサムゲーム(儲けた人の「儲けた額」と損した人の「損した額」の合計は常に0円であるゲーム)の世界であり、「株を売った人」と「買った人」の間でお金が移動するだけの話である。お金の総額は増えもせず減りもせずであるし、何も生産・消費されないので、国民生活の豊かさを示す指標である国内総生産(GDP)とは全く関係しない。
 
「実体経済」も「金融経済」も、同じお金が循環する世界の話であるが、
前者は国民の生活を豊かにする(景気を良くする)が、後者は国民生活を豊かにすると言う点では何の役にも立たない
従って、国民生活を豊かにするためには、お金は実体経済の方により多く流れる様にすべきである。
 
安倍政権も、お金が「実体経済」の方に回ることを期待して「法人税の減税」を行ったのであるが、その心は、
 ●企業が、法人税減税により拡大される利益を、投資や従業員の報酬アップに回すことで、
  ➪投資先企業への需要拡大(発注額拡大)
  ➪従業員の購買意欲向上(消費拡大)
に期待したのであろう。
 
しかしながら、現実には、
 ●法人税減税で拡大した利益は、投資や従業員報酬と言った実体経済に回ることなく
 ●自社株買い、借金返済など、金融経済の方に回してしまっているので、
結果的には、需要喚起の効果はなく、法人税減税とセットで行った消費税8%アップが、消費者の購買意欲を更に削ぐだけの弊害しか現れていないと言える。
 
理想は、
 ●国民生活が豊かになり
 ●それに伴って、「金融経済」の方にもお金がバランス良く回って、株式市場も活発になり、株価も上がる
という姿が正しい姿だと思うが、現実はそうは成らず、
 ▼株価だけが上がり、
 ▼暮らしの豊かさを示す指標の一つである「実質賃金」は連続して下がり続けている状態
である。
 
株価が上がっていることについては、「黒田バズーカ」と呼ばれているが、10月に日銀が「金融緩和の追加施策」として、「大量の日本国債買取り」を実施すると発表したため、
 ▼為替レートが円安に進み、
  ➪日本の株式市場売買の6割を占める外国人投資家の株式購入が増加したことが
   ➪株価の日経平均を押し上げたのである。
 
日銀が大量の「国債買い入れ」を実施すれば、(「国債買い入れ」の原資=日銀による通貨(日本円の)発行だから
 ➪日本国内の資産が増えた訳でもないのに、国内に流通するお金(円)の量だけが国債購入額分(黒田バズーカでは追加30兆円)だけが増える訳だから、
  ➪海外から見たら当然、「円」の資産価値は下がる訳であり、為替レートは「円安」になる
   ➪「円安」になれば、海外にとっては日本製品の輸入価格が下がるので、
    ➪海外諸国での日本製品の輸入量が増えることになり、日本国内の輸出企業にとっては追い風になるが、
    ➪逆に、海外から日本への輸入品の価格が上がるため、
     輸入品を買う国内企業や日本国民にとっては値上がりになってしまうので、
     ➪益々、消費意欲に水を差す結果になる。
現実には、輸出増のプラス効果よりも輸入品と値上がりによるマイナス影響の方が大きかったらしいので、黒田バズーカの「実体経済」への影響はマイナスに働いたと言うことである。
と言う事で、日銀が取った金融施策(黒田バズーカ)は、
 ▼「金融経済」へのお金の流れを増やし、外国人投資家への株式譲渡益を増やしただけであり、
 ▼「実体経済」へのお金の流れを増やすには至らず、景気浮揚には繋がっていないそうである。
 
まあ、経済は難しくて、なかなか説明するのが難しいが、以下のURLのYOUTUBEにて、三橋貴明さんが直接説明してくれているので、興味ある人は見て戴きたい。
http://youtu.be/2NXANSgebIQ
【2024/2/19追記】
上のYoutube動画は、既に削除されている様である。