日本国経済状況の正しい見方 〜日本が国の借金で財政破綻するなんて大ウソ!〜


日本国経済状況の正しい見方 〜日本が国の借金で財政破綻するなんて大ウソ!〜
2015年2月15日(日) 快晴
 
経済アナリスト・三橋貴明さんのブログを毎日見ているが、昨日、また、国の借金問題が話題になっていたので、私なりに頭の整理をしてみた。 (下線部分をクリックすれば、三橋さんのブログが読めます)
 
■日本に国の借金なんて本当にあるのか?
 答えは勿論「NO」。
・「国の借金」と言う以上は、借金の相手は外国。では、本当にそうなのかを以下のとおり、バランスシート風にまとめてみた。国際収支(外国への貸し借りの差額)のバランスシートである。
    
・では何故、財務省はこんな大ウソをつき続けているのか? 勿論、経済のことを理解していないと言うことではない。大ウソだと分かっていて故意に事実をねじ曲げて国民を騙している(不安を煽っている)のである。その理由は何かと言うと、財務省に課せられた任務の一つに「財政の健全化」があるためである。今日まで私も知らなかったのだが、大蔵省から財務省に変わるときに作られた「財務省設置法」と言う法律で明確に「財政の健全化」が任務として定められているのである。そのため、財務省は何とか政府の赤字(国債発行残高)を減らして財政を建て直す必要があると考え、国民が財務省の施策に同調してくれる様に手を変え品を変え煽っている訳である。財政を悪化させないために取るべき道は、以下の三つしかない。
 (1)GDPを拡大させる施策を実施して、GDPに比例する直接税(所得税、法人税)を増加させる。
 (2)国民全員から取りっぱぐれなく納税して貰える間接税(=消費税)の税率を上げて税収を増やす。
 (3)政府の歳出を抑制する。(緊縮財政を進める)
財務省の範疇では(1)には手の出しようがないため、(2)と(3)を推進する訳である。
 
■『「国の借金」12月末は1029兆円 国民1人当たり811万円』は本当か?
 答えは勿論「NO」。
・「国の借金」と言う表現がそもそも間違っていることは上に書いたとおり。正しくは、「国の借金」ではなく、日本国内に閉じた貸し借りの話であり、「政府の借金」と言うのが正しい。
・であるならば、政府は誰から借りているのか? それは国民からである。勿論、直接国民から金を借りている訳ではないが、国民が貯金したり積み立てたりした預金、保険料(障害保険、生命保険、年金保険、健康保険など)を資産運用している金融機関(銀行、保険会社、年金基金など)が政府から国債を買って(=借用書を預かって)政府にお金を貸している訳であるから、政府の借金に対する実質の債権者は国民なのである。日本国債の保有率を見ると分かるが、外国人投資者が保有しているのは僅か5%であり、95%は日本国民が保有しているのである。だから、債権者である日本国民が政府の借金の債務者(平均811万円の債務者)である訳がないのである。正しくは、日本国民は平均811万円の債権者と言うべき話である。
・債権者という意味では、理屈では確かに政府が倒産(債務不履行)となった場合には貸した金を取りっぱぐれる事態になると言うことであるが、現実には、政府が財政破綻することは有り得ない。理由は以下。
 (1)政府の借金(=国債)は100%円建て。しかも、政府には、その円(通貨)を発行する権利を持っている。故に、通貨を発行すればいつでも借金は返せる(=国債を買い戻せる)のである。
 (2)国債の償還期限(返済期限)が来たら、新しい国債を発行して借り換えすれば良いだけなので、債務不履行には絶対にならない。
 (3)「通貨を乱発したらハイパーインフレが発生して財政破綻する」と騒ぐお馬鹿さんがいるが、ハイパーインフレの定義を知らない人。ハイパーインフレとはインフレ率が13000%のこと、つまり、1年後の物価が前年の130倍になることである。終戦直後の焼け野原になって生産能力(供給能力)が壊滅状態になった時でさえ年間のインフレ率は500%(物価が前年の6倍)程度である。 また、仮にハイパーインフレが起きたとすると、物の価値が130倍になる訳だから、言い換えれば円の価値が130分の1になると言うことである。従って、政府の借金も130分の1になるということである。例えば1000兆円の借金は、実質8兆円足らずの借金になると言うことである。そもそも、通貨が増えたとしてもインフレが必ず発生するとは限らない。昨年10月の黒田日銀総裁の金融緩和(黒田バズーカ:80兆円規模の通貨発行)でもインフレどころかデフレが全く改善していないことからも分かる。インフレとは、供給が需要に追いつかない状態を言うのであり、幾らお金が増えても需要の増大に結びつかない限り「需要<供給」の状態は変わらずデフレは続くのである。
 
■日本の国のお金の状況(頭の整理)
 以降は、日本のお金の状況についての頭の整理(見える化)である。私の推測も多少は含んでいるが、まあ、大きくは外れていないと思う。
以下の図は、次のポイントからお金の状況を見える化した。
 ・政府の持分と民間の持分に分けて、その関係を分かり易くする。
 ・「投資・消費」と「貯蓄」の関係を分かり易くする。
 ・お金が流れる実体経済金融経済の関係を分かり易くし、どの部分が増えればGDPが増大するかを分かり易くする。
   
   ・「貯蓄分」部分は、そのままではGDPの観点から見ると死に金。経済に対しては何の影響も与えない。民間に貸付けたり、政府に貸し付けたりすれば実体経済(GDP)に繋がる可能性大。
   ・実体経済での消費・投資を増やして需要を拡大させる(即ち、デフレを脱却する)ためには、国債を発行して政府の消費・投資を増やす必要がある。(真逆の緊縮財政ではなく財政出動が必要)  

■日銀による国債買取(=通貨発行)のイメージ(頭の整理)
 以下は、日銀が国債を買い取る場合のイメージを示したものである。
   
   ・需要>>供給(激しいインフレ)と言う関係が発生しない限り、政府は国債を発行し続けて財政出動し、需要を増大させるべきである。それがデフレ脱却の道。
   ・国債の発行は、実質的には、凍り付いた民間の貯蓄(死に金=殆ど消えた金みたいなもの)の代わりに実体経済に流れる通貨を増やして実体経済を活性化させていると解釈できる。