経済のお勉強:マイナス金利


経済のお勉強:マイナス金利
2015年1月22日(木) 雨
 
最近、経済のニュースで「マイナス金利」という言葉を良く耳にする様になったのだが、意味がどうも分からない。
単純に考えると、「そんな馬鹿な〜」と思ってしまうのだが、多分、難しい経済上のカラクリがあるのだろうと思うので、本日はこのマイナス金利について調べてみることにしよう。
 
折しも、経済アナリストである三橋貴明さんの本日のブログでも、このマイナス金利の説明がされていたので、それを参考にしながら、疑問を解消したいと思う。
 
ここまで書いた時点では、まだ何も分かっておらず、調べながら加筆していくので、この記事が、どんな内容にまとまるのか、全く予想できない。
また、それも楽しからずやである。
なお、冒頭に書いた本日の日付(1月22日)中に調査・編集完了して、アップすることを目標にするが、間に合わず日付が変わってしまった場合は悪しからず。
 
まず、「マイナス金利とは何か」と言うことについて説明する。
 
「金利」と言うのは、利息・利子のことであり、お金の貸し借りをする時に、貸し借りの金額(元金と言う)に上乗せして返済する部分のことを言う。
呼び方は、金融機関によってマチマチであるが、私の認識が正しければ、同じ金利の呼び方について、「貸した方」と「借りた方」で呼び方が変わると言うことである。
即ち、
 △貸した方(債権者)が、借りた方(債務者)から貰う「金利」の呼び方を「利息」と言い、
 ▼逆に、借りた方(債務者)が、貸した方(債権者)に払う「金利」の呼び方を「利子」と言う。
勿論、同じ部分のお金を指す訳であり、「払った」「受け取った」の関係なので金額は「利息」=「利子」である。
例えば、
 △銀行預金する場合は、預金者が債権者なので、債務者(銀行)から「利息」を貰う事になり、
 ▼「住宅ローン」を返済する場合は、借りた方(債務者)が、債権者(銀行)に「利子」を払うことになる。
 
では、マイナス金利とは一体どういう事なのか。
 
・言葉通りなら、債務者が債権者に払う金利(利子)がマイナスと言うことであり、
・平たく言えば、本来なら金利を払うべき債務者が、逆に債権者から金利を貰うと言うこと、
・もっと分かり易く言えば、債権者(例えば銀行)が、「金利を払うから金を借りて下さい」と債務者にお願いすることである。
・もっと具体的な数値の例で言うなら、「返済額は9千万円でいいから、1億円を借りて下さい」と言う事である。
 
だから、「そんなバカな〜」と思ってしまうのである。
しかしながら、現実には、そんな馬鹿なことが日本で、さらに、スイスなど一部の国で今現在起こっているのである。
ただし、これは個人のローンや企業への融資と言った様な一般の取引においてではない。国(政府)と民間(金融機関など)の間で行われる取引においてである。
いわゆる国債と言うやつである。
 
政府が返済期限と金利の利率をあらかじめ決めて民間からお金を借りるのが国債であり、債権者は民間側、債務者は政府である。国債と言うのはその時の借用書みたいなものと考えて良いと思う。実物を見たことがないのでこれは想像であるが、多分、返済期限、借入額と返済時の金利率(%)、または借入額+金利の合計金額と言う様な内容が記されていることだろう。では、マイナス金利の国債とは、この借用書に「返済時の利率−1%」と言う様にマイナス金利利率が記されているのか? 多分、それは無い。そんな非常識なことを政府がする訳がない。借用書上は正規のプラスの利率(または、その利率で計算した元利合計額)が記されている筈である。(と書いたところで調べてみたところ、現在はペーパレス化されているので、借用書的な紙(証書)は無いそうである。)
 次に、国債は買った人が最後(返済期日)まで持ち続けなければならないかと言うとそんなことはない。株式と同じ様に売買して良いということである。株式という債権が売買されるのが株式市場であり、国債という債権が売買されるのが国債市場である。株式とは違い、国債は発行元である政府が倒産する(財政破綻する)ことは現実には(日本では)有り得ないので、必ず額面の金額(元金+金利)は返済期日に返して貰える。では、マイナス金利とはどういうことかと言うことについて、私の推測を交えて以下に順を追って説明してみる。
 
■国債の発行(買取)方法
・国債は入札方式(買う側が幾らで買うかを書いた札を入れて、その結果、一番高い金額を書いた人が落札する方式)によって買われる。従って、必ずしも額面どおりの金額で買われる訳ではない。
・国債の額面とは、返済期日になって返される金額である。即ち、元金+金利の合計額である。つまり、国債は、買う時の金額は入札なので変動するが、返して貰う時の金額はあらかじめ決まっている。(額面の金額。専門用語では「額面金額」と言うらしい)
 
■マイナス金利が発生する理由
・国債は入札方式で買われるため、定価と言うものは無い。通常は元金(貸す額)相当が入札価格になると思われるが、買い手が少ない場合(買い手市場)では元金より少ない額で入札されるかもしれないし、逆に、人気が集まって買い手が沢山いる場合(売り手市場)では、元金より高い額で入札されるかもしれない。
・従って、額面金額(返して貰う時の返済額、即ち元金+金利の合計額)よりも大きな金額で入札されることも無いとは言えない。ただし、買取額(=政府に貸し付ける額)>返済額(=政府から返して貰う額)となり、金利どころか元金すら満額回収できないことになり損するので、通常は発生しない。
・しかし、返済期限まで持ち続けるつもりはなく途中で他人に売るつもりであれば、買取金額が額面金額より高いか低いかはどうでも良く、売る時に買取金額より高く売れさえすれば損はしないのである。ちょうど株式売買において株券の額面に関係無く買価より高く売れれば差額分だけ儲かるのと同じ理屈である。
・そして、現在は、日銀による金融緩和施策(即ち、国債の買取り)が、毎年50兆円を超える規模で継続されているので、まあ、マイナス金利(額面以上の金額)で買ったとしても、返済期日まで持ち続ける訳ではなく、いずれはそれより高く日銀が買い取ってくれる確率が高いので利益が出ると踏んでいる訳である。
・では、何故、マイナス金利になるほど国債の買いに人気が集まり注文が殺到するのかと言うと、それは銀行が極度の金余り状態に陥っており、何もせずにお金を銀行の金庫に眠らせておくと「借金」の金利支払いが苦しくなるために、何とか資金運用してお金を増やす必要があるためである。ここで「借金」と言ったのは、勿論、銀行に口座を開いているお客様の預金のことである。銀行側からすれば、預金はお客様からの借金である。「利息」と言う名前で借金の利子を預金者に支払わなければならない訳である。しかも辛いことに銀行の場合、一般企業とは違い自分の意志で借金している訳では無く、お客様が預金すると言えば預金(銀行から見たら借金)を拒否できないのである。何とも辛い立場である。
・ではでは、何故、銀行が極度の金余り状態になっているかと言うと、企業側にお金を融資して貰う必要性がないからである。金を借りてまで投資する対象(投資したら儲かると言えるだけの対象)が無いからである。なぜ、投資対象がないのか? それはデフレが長く続き、需要が落ち込んで供給過多、モノ余りの状態、在庫増加の状態に陥っており、製品やサービスの生産量を抑制したいくらいなので、投資回収など期待できないと考えているためである。
 
■「マイナス金利」が分かりにくい理由(私なりの分析結果)
 それは、マイナス金利と言うと、言葉通り本当に国債の金利がマイナスになると勘違いする人が多いからである。私もその一人であるが。国債を額面金額(元金+金利)より高く買うと言う行為は、政府からの返済額よりも高い金額で買い取る(返済額より高い金額を貸す)と言うことだから、絶対損すると言うことである。無利子で貸すと言う事は融資額=返済額と言う事であり、融資額>返済額で貸すと言うことは、損益的には、利子をこちらから払うので借りて下さいと言うのと同じ結果になる。ということで、額面金額以上の買取価格で国債を買う時の表現をマイナス金利と表現したのだと思う。
 
■政府の借金問題、財政破綻を口にする人達
 ここ数年(もっと前から?)、日銀は金融緩和策として、毎年、国債を50兆円〜80兆円規模で買い取っている。2015年度の日本の国家予算案が96兆円と言ってるので、日銀の毎年の国債買い取り額は、国家予算の半分以上の規模だと言うことである。この影響により、現時点の国債発行残高(=国債の債権者)の持分比率を見ると、日銀が何と20%を持っているそうである。
 ・「国の借金(=国債発行残高)が1000兆円になる。このままでは日本は財政破綻する」
 ・「将来の若者に借金を背負わせることになる。国民一人当たり1千万円の負担だ」
などと財務省や勉強不足の国会議員が騒いでいるが、事実認識不足も甚だしい全くの嘘である。まあ、財務省の役人は、嘘と分かっていて故意に国民を欺くために煽っているのだと思うが。その理由は、先日このブログに書いたとおり、消費税増税、緊縮財政を進めて、歳入を増やし歳出を減らして自分の手柄にしたいからだと思う。実際は以下のとおり。
・日銀は政府の子会社みたいなものであり、日銀の国債買いは親会社の借金を子会社が返済している(親会社への債権を子会社が買い取ってチャラにしている)のと同じこと。黙っていても年々国債発行残高(=政府の借金)は毎年50兆円〜80兆円規模で減っている
・国債の債権者の95%は日本国民+日銀であり、外国人投資家の持分は僅か5%、しかも日本国債は円建て(国債の額面金額の単位は円)なので、いざとなればお金(日本銀行券)を印刷すれば、日銀が幾らでも国債を買い取れるし、現に、日銀が国債を毎年大量に買い取っている。日銀が国債を買い取ると言う事は、実はその金額相当のお金(日本銀行券)を発行していることそのものである。別に日銀が資金を沢山貯めていて、そのお金を使って国債を買い取っているのではない。私を含めて多分殆どの人はその様に(=日銀の所持金で買い取っていると)勘違いしていると思うが。日銀が国債を買う=日銀がお金(日本銀行券)を新規発行すると言うのが正しいらしい。ただし、実際には紙のお札を印刷している訳ではなくて、国債を買い取った相手の銀行が日銀に開いている当座預金口座の残額に買い取った分の金額を加算して支払ったことにしている数字操作だけである。これにより、日本国のお金の総額(これをマネタリーベースと言う)が買い取った分(即ち、新規発行した日本銀行券の分)だけ増加している訳である。国債債権者の95%が日銀を含む日本国民、かつ、国債は円建てであるから、外国に借金している訳ではないし(と言うより日本の国際収支は真っ黒、世界一の金持ち国だし)、お金を印刷すれば(=日銀が国債を買い取れば)いつでも借金を返せる。対外的に影響があるとすれば、せいぜい為替レートが円安に振れて輸入品の価格が上がるのと、株式市場の売買の6割を占める外国人投資家の「買い」が増えて株価の日経平均が上昇するくらいの話である。それから、中国人の旅行客が増えると言うのもありました。余談であるが、中国人の日本への旅行者は1年前から倍増したそうであり、中国国内での海外旅行の人数が多い国のトップが、米国から日本に入れ替わったそうである。
・繰り返すが、国債の債権者の95%は日本国民(日銀を含む)である。勿論、一人一人の国民が直接、国債を買っている訳では無いが、日本国民の預金をベースに資金運用している銀行、日本国民が拠出した年金保険料をベースに資金運用している年金機構、日本国民が加入している生命保険や損害保険などの各種保険料をベースに資金運用している保険会社が国債を買っている訳なので、実際の国債の債権者は日本国民なのである。金を政府に貸しているのは日本国民なのである。その債権者たる日本国民が一人当たり1千万円の債務者である訳がないのである。
《日本銀行の当座預金》
 上で、銀行が日銀に開いている当座預金の話をしたが、日本の各銀行は日銀に当座預金を開いて、銀行で保有している預金に対して準備率と呼ばれる比率で決まる準備預金額を日銀当座預金に入れておくことを、「準備預金制度に関する法律」により義務付けられているそうである。
 参考までに、日本銀行に開く各銀行の当座預金口座の役割は以下のとおりだそうである。
  (1)金融機関が他の金融機関や日本銀行、あるいは国と取引を行う場合の決済手段
  (2)金融機関が個人や企業に支払う現金通貨の支払準備
  (3)準備預金制度の対象となっている金融機関の準備預金
 原則として、日本銀行当座預金に利息は付かないらしいが、日銀が必要と認める場合には利息を付けることがあるそうで、上に書いた準備預金のうち準備率で決められた準備金額を超える部分に対しては利息を付けるらしい。国債を日銀が買い取った時に当座預金口座に加算するお金にも利息が付くことになるので、各銀行はマイナス金利で国債を買っても、それを日銀が買い取ってくれれば、買価と売価の差益に加えて、この利息も付くことになると思われる(これは私の推測)。
 
 いずれにしても、現在一番問題なのは、マイナス金利でも国債発行残高が1000兆円あることでもなく、デフレであると言うことである。解決策は、増税でも緊縮財政でもなく、デフレ脱却、即ち需要の創出しかない。そのためには、民間の生産(=所得=消費)が冷え込んでいる今は、国による需要の創出、つまり、財政出動(国債を発行してでもお金を使って公共投資を拡大すること)しかないのである。東京〜名古屋間で計画されているリニア新幹線を大阪まで延長して同時開業するとか、それによって東京〜名古屋〜大阪を1時間圏内にして東京一極集中から3極分散化しやすくするとか、それにより一極集中のリスクを回避するとか、北海道新幹線、山陰新幹線を具体化して新幹線ネットワークを広げるとか、色々と実GDP向上と潜在GDPの顕在化に寄与するアイデアがあると思う。もういい加減、財務省に踊らされてデフレ対策とは真逆の増税、緊縮財政を進めるのは止めにして欲しいものである。