記事紹介:ギリシャ財政破綻についての現状と予測、対比した日本の状況

記事紹介:ギリシャ財政破綻についての現状と予測、対比した日本の状況
2015年07月20日(月) くもり

 世間では3連休の最終日(私にとっては365連休のとある一日)、今日も暑くなるらしいが、天候は曇り、湿気の多い息苦しい天気である。
 さて、今朝は、毎日読んでいる経済アナリスト三橋貴明さんの無料メルマガ三橋貴明の「新」日本経済新聞の本日記事を紹介する。ギリシャ財政破綻状況と今後について、更に、同様な経済環境(デフレ、かつ、緊縮財政)の日本の状況について、とても分かり易くまとめられているので、全文引用で紹介する。経済のお勉強になると思われる。
 URL → http://www.mitsuhashitakaaki.net/2015/07/20/mitsuhashi-266/
〜〜〜〜〜以下、全文引用〜〜〜〜〜
JPモルガン・チェースエコノミスト、グレッグ・フゼジー、マルコ・プロトパパの両氏は、7月13日のリポートで、
今年のギリシャの1−6月(上半期)の景気縮小は、年率で10%となるペースだとの概算を発表しました。
すでに、ギリシャのGDPは対08年比で26%減少しています。この上、さらに年率10%で経済規模が縮小しているところに、
「緊縮財政」が強行される。

恐らく、ギリシャの今後の貧困化と国民経済の崩壊は、将来的には経済の教科書(経済学、ではなく)に載るレベルになると思います。

すでにして、ギリシャの失業率は25%を上回っているわけですが、今後、ギリシャで緊縮財政が推進されることで、
失業率は当然の話として上昇。30%に接近していくでしょう。

しかも、現在のギリシャ国民は「誰」のせいで緊縮財政を強要され、自分たちが貧しくなっていくかを理解しているわけです。
もちろん、ドイツである、ユーロであり、EU(欧州連合)です。

日本のような普通の独自通貨国は、GDPが二割超も減少するようなデフレ期には、長期金利は下がります。
何しろ、デフレ期には、
「企業が設備投資をしない」
わけで、銀行からおカネを借りる必要がなくなります。反対側で国民は預金を増やすため、銀行は
「貸出先がない自国通貨建ての預金」を政府に貸し出すことになります。すなわち、自国通貨建て国債を買うのです。

結果、長期金利は下がっていき、企業は設備投資が容易になります。もっとも、デフレ期には需要が乏しく、
企業が銀行から借り入れた資金を投じる先が少なくなります。政府が率先して需要を拡大するまで、
銀行融資と設備投資は不十分な状況が続き、金利は低迷します。

デフレから脱却し、需要拡大でインフレ率が安定的に推移するようになれば、企業が「儲かる」ということになり、
銀行融資や設備投資が増えます。すると、国債金利は上昇します。もっとも、独自通貨国は中央銀行国債を買い取ることで、
金利を調整することは可能です。

いずれにせよ、インフレ率と長期金利は、ある程度はトレードオフの関係にあるはずなのです。
インフレ率がマイナス(デフレ)のときは、金利が低下し設備投資が促されます。逆に、需要が拡大するインフレ期には、
金利が企業の設備投資のボトルネックになりえます。

日本のバブル期の長期金利は、6%を超えていました。当時と今(長期金利0.4%)と、どちらが「金利面」で設備投資が容易でしょうか。
もちろん「今」の日本です。

要するに、国民経済には「需要拡大(インフレ期)」」あるいは「金利低迷(デフレ期)」と、企業の設備投資を誘引する
スタビライザー(安定化装置)が埋め込まれているのです。そして、インフレ期に企業が設備投資を拡大し、
生産性を高めることで「経済成長」が達成されます。

ところが、現在のギリシャは、
「需要が縮小するデフレ期」
であるにも関わらず、
長期金利が10%を上回っている」
状況にあります。これでは、二重の意味でギリシャの設備投資は増えず、根本的な問題である生産性向上は起きません。

生産性が向上せず、さらに統一通貨ユーロに参加し続ける限り、ギリシャは永久に「ドイツ製品の市場」であり続け、
所得が貿易赤字(ドイツの黒字)としてドイツに渡り続けることになります。

産業革命後のイギリスが、インドに「自由貿易」を強要し、綿製品を売り続け、インドの綿産業を壊滅させたのと
何が違うのでしょうか。

というわけで、次なる三橋の著作は「ドイツ第四帝国の興亡」でございます。
〜〜〜〜〜以上、全文引用〜〜〜〜〜