遂にギリシャが財政破綻!


遂にギリシャが財政破綻!
2015年7月1日(水) 雨
 
2015年も今日から後半に入る。久しぶりに朝から雨である。
 昨日は、一日中、有感地震が何度も発生していたが、どうやら、箱根大涌谷の火山活動が拡大し、噴火警戒レベルが2(半径300m以内立入禁止)からレベル3(半径1km以内立入禁止)に上げられた様である。また、昨日は東海道新幹線で全く想定外の事件、焼身自殺が発生し、自殺者本人に加え死亡1名、重軽傷多数という犠牲者を出してしまったらしい。
 昨今の世情を見るに、国内外ともに大きな変化が現れている。(以下。順不同、思い付くままに)
【国内】
・ドローン事件(首相官邸上空にドローン侵入)・・・治安維持が隙だらけなことを露呈。テロリスト、仮想敵国には好材料。
・今回の新幹線焼身自殺・・・米国9.11(ニューヨーク世界貿易センターへの旅客機体当たりテロ)よりも簡単にテロを起こせることを露呈。
・豪雨災害(全国各地)・・・社会インフラ(環境、防災体制、etc)の整備不良
・水道管破裂による洪水(東京早稲田通り)・・・財政健全化を言い訳にした社会インフラのメンテナンス放置
・首都高速道路の老朽化・・・財政健全化を言い訳にした社会インフラのメンテナンス放置 東京・横浜は世界都市危険度ランキングで堂々第1位
・3.11以降続いている原発放射能漏れ・・・補助電源設備不足、菅首相の対応遅れ、無駄な現地視察による復旧作業遅延など、各種人災の複合原因?
・御岳山を含む各地での火山活動活発化・・・今後、何らかの安全保障対策強化が示唆される。
・原発停止の代替手段である火力発電の懸念(老朽化設備が何時まで持つか、燃料である原油、天然ガスは100%輸入依存、シーレーン封鎖等で原油供給ストップしたら日本は破滅)
・TPP締結の懸念(全農解体、農家/畜産業の廃業⇒食料自給率の更なる低下、紛争勃発等で供給ストップしたら日本人は飢える)
【海外】
・中国の不穏な動き(尖閣諸島問題、南沙諸島への埋め立て・飛行場(不沈空母)建設、沖縄を中国領土に組み込むための画策、AIIB設立、シルクロード経済圏構想と中露同盟画策)
・中国の財政不安(上海株式市場の株価急落、バブル崩壊の始まり、シャドウバンクの破綻、大規模ゴーストタウン林立、中央と地方の格差拡大、地方の政治腐敗と暴動頻発、中国共産党1党支配がどこまで持つか、分裂の懸念)
・北朝鮮の動き(金正恩の統率力に翳り?)
・米国の世界警察の役割終了宣言・・・紛争勃発時に、日米安保条約がどこまで効力を発揮するか疑問。安保条約は、国内法の範囲という条件付きなので、紛争後1ヶ月は大統領権限で派兵できるが、米国議会の承認が得られなければ、撤退となる。
・中東問題(イラン、イスラエル、ISIL(イスラム国とも呼ばれるテロ組織))
・EU/ユーロの破綻・終焉、グロ−バリズムの終焉(ギリシャ財政破綻、第二第三のギリシャが連なる。元々、経済力格差のある国で統一通貨(即ち、同一土俵でのビジネス勝負)にすれば勝ち組と負け組に分かれるのは自明の理。東京都と鳥取県が勝負するようなもの)。
・ウクライナ問題
・韓国経済問題
 
 それなのに、日本だけは70年間続いた平和が今後も続く、米国は安保で日本を守ってくれると大半の国民は信じて疑わず、安全保障(国防、防災、エネルギー、食料、・・・)への危機感が希薄である。さらに、肝心の政府が、本来なら今こそ財政出動すべき時(20年続くデフレ(需要不足)、GDP低下、金余り、メンテ手抜き(予算削減)による社会インフラ老朽化、各種の想定外問題噴出、等々)なのに、いまだに緊縮財政と消費税増税と言う真逆の政策ばかり進めており、全く危機感がない。原因はハッキリしている。現在の国政に関わる経済学者が古典派経済学者であること(代表的な学者は竹中平蔵。彼が日本経済をメチャクチャにしたと言う人が多い)。財務省は、一般の会社で言えば経理部門であるが、経理部門のミッションがコストダウンであること(売上拡大には責任なし)と同様に財務省のミッションは財政健全化であること(GDP拡大には責任ない)、しかも、財務省設置法と言う法律で明確に「財政健全化」が財務省の義務であると規定されているため、財務省としてはそれをやるしかないこと、そして財務省に各種の権限が集中していること(一番大きいのは予算案作成。実質、各省の予算配分は財務省の手の内)。古典派経済学と言うのは勿論私も全く知らないが、何でも、供給しただけ需要が生まれる(供給不足)という考え方の典型的なインフレ(需要>供給)時に適した経済学らしい。今現在の日本および世界はデフレが続き、その原因は需要不足であるから、インフレ時に適した古典派経済学では上手く行く訳がないことはすぐに分かる。ところが、そんな簡単なことが政府には分からないらしい。
 政府は、財政健全化目標として、プライマリバランス(基礎的財政収支)の黒字化(ザックり言えば歳入≧歳出)を目指すことを決めてしまった。国際的な財政健全化の指標が「負債対GDP比率の健全化」なのにである。結局、経理部門である財務省にはGDP向上は関係ないので、コストダウン(歳入≧歳出)だけを考えて目標設定しているのである。これでは、歳入が減ればさらなる歳出削減をしなければならなくなり、日本経済が縮小の一途を辿るだけである。なぜなら、歳入(所得税+法人税+消費に伴う消費税)はGDPが低下すれば当然低下するので、
 GDP低下→歳入低下→歳出削減→GDP低下→歳入低下→歳出削減→・・・・
となり、
 日本経済が益々縮小 → 投資の縮小 → 生産性低下 → 生産能力(技術力、生産力)低下 → 発展途上国化・・・・
の道を突き進む訳である。普通の会社でも同じ様にすれば必ず会社は倒産する。これを防ぐには、一時期赤字になっても投資(営業、人材、技術開発等)を増やして売上を伸ばし黒字化するしかない。国政で言えば、一時期プライマリバランスが赤字になっても財政出動(国債発行)して民間の(国策受注という)需要拡大→投資拡大→生産(即ち消費)拡大→GDPを向上させて歳入(所得税+法人税+消費に伴う消費税)を増やすしかないのである。これを正しく進めるための評価指標が、「負債対GDP比率の健全化(GDPの大きさに見合った比率内の借金であれば財政は健全と言える)」である。
 
 前置きと言うか、私の思いの発散が長くなってしまったが、本日の表題になっているギリシャの財政破綻について書く。元ネタは、いつもの様に経済アナリストである三橋貴明さんのブログ記事である。ブログで三橋さんが一番言いたいことは、「ギリシャはプライマリバランス黒字化の状態で財政破綻した(多分、EUの周りに言われて実直に黒字化を進めたが為に財政破綻したと言いたいのだと思う)」という点に尽きると思う。
 以下、三橋貴明さんのブログを全文引用で紹介する。URLは以下。
   http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12045188944.html
〜〜〜〜〜〜以下、全文引用〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
 ギリシャがIMF融資の返済不可能になり、デフォルトしました。すなわち、財政破綻です。
 そして、信じがたい話かも知れませんが、昨年のギリシャはプライマリーバランス(以下、PB)が「黒字」でした。
 
『昨年のギリシャのプライマリーバランス、GDP比0.4%の黒字
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPKBN0N613520150415
 ギリシャ統計局(ELSTAT)は15日、地方政府分を合わせた2014年の基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字が国内総生産(GDP)比0.4%になったと発表した。(後略)』
 
 日本の安倍政権は、2020年までのPB黒字化、2018年までのPB対GDP比半減という「緊縮財政の目標」を閣議決定致しました。
 
『骨太・成長戦略を閣議決定、財政一体改革へ「不退転」
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKCN0PA0U620150630
(前略)安倍政権が同日閣議決定した財政健全化計画は「経済再生なくして財政健全化なし」との指針を掲げ、実質2%、名目3%の経済成長を目指すのと同時に、2020年度の基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)の赤字9.4兆円を解消するものだ。(後略)』
 
 しつこいほど繰り返しますが、財政健全化の定義は「政府の負債対GDP比率の低下」です。これは、グローバルにそうなっているという話で、別に三橋定義ではありません。
 
 財政健全化の目標を立てたいならば、当然ながら政府の負債対GDP比率の引き下げ目標を経てるべきなのです。それにも関わらず、安倍政権は財政健全化の手段の一つに過ぎないPBを殊更にクローズアップし、黒字化目標を立ててしまいました。
 
 政府の負債対GDP比率の引き下げならば、
「名目GDPの成長率を高める」
 ことで達成できます。特に、日銀が国債を買い取り、国債金利が超低迷している現在ならば尚更です。
 
 それに対し、PB黒字化を短期で「主体的に」達成しようとした場合、税収が増えない場合(2015年度は対前年比で減るでしょう、政府の歳出削減以外にやれることがありません(あるいは増税)。というわけで、政府が支出を削り、日本を再デフレ化させ、GDPを減らし、税収が減り、更なる歳出削減という悪循環に突っ込んでいくことになるでしょう。
 
 ところで、ギリシャはなぜPBが黒字であるにも関わらず、財政破綻したのでしょうか。話はまるで「逆」で、ギリシャはPBを黒字化するほど緊縮財政(主に支出削減)を実施したからこそ、デフレが悪化し、税収が減り、財政破綻に追い込まれたのです。
 日本のエコノミストと自称する連中や、
「PBを黒字化しないと破産する」
 などと発言した自民党の政調会長をはじめとする無知な政治家の皆さん、心して聞いてください。
 
 ギリシャはPBが赤字だから財政破綻したのではありません。PBが黒字化するほど緊縮財政を実施し、デフレが悪化し、税収が減り、財政破綻したのです。
 
 ギリシャは「緊縮財政の犠牲者」なのです。
 
『“ギリシャは犠牲者”英紙、クルーグマンから擁護の声 ユーロの構造的問題を指摘
http://newsphere.jp/world-report/20150629-2/
 深刻な財政危機に直面しているギリシャは、EUが求めている財政緊縮案を受け入れるかどうかを問う国民投票を7月5日に実施することを決定し、ユーロ圏離脱の可能性も出て来た。ギリシャを非難する意見は多いが、責任はギリシャだけにあるのではないという見方もある。(中略)
◆押し付けの緊縮策こそ問題
 このような状況のもと、ビジネス・インサイダー誌のヘンリー・ブロジェット編集長は、皆が悪者探しをしていると指摘。多くがギリシャのチプラス首相を無責任だと責めているが、経済学者のポール・クルーグマン氏は、これに異議を唱えていると述べている。
 クルーグマン氏は、過去7年間、欧州はギリシャ経済の首を絞めてきたと主張。欧州が金を貸すたびに、ギリシャは歳出カットで応えており、緊縮財政こそが、ギリシャ経済にダメージを与えてきたと説明する。同氏は、危機に陥るたびに譲歩したことで、ギリシャは不況に苦しむ経済上の奴隷国になり果てたとし、ギリシャが持続可能な方法で負債を減らして現状から脱却することを欧州が認めないならば、ギリシャに残された道は債務不履行とEU離脱しかないと述べる(ビジネス・インサイダー誌)。(後略)』
 
 ギリシャはクルーグマン教授の言う通り、カネをEUなどから借りるたびに、きちんと「緊縮財政」を実施してきました。だからこそ、こんなことになってしまったのです。
 
【ギリシャの名目GDP(十億ユーロ)】
 
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_50.html#GGDP
 
 デフレ期の緊縮財政を続けた結果、ギリシャはGDPがピークから26%も減ってしまいました。戦争でもなければ、普通はこれほどまでのGDP減少は起きません。デフレとは、戦争並に(あるいは戦争以上に)経済にダメージを与えるのです。
 
 GDPが減れば、税収も減ります。通貨発行権がないギリシャ政府は、緊縮財政で税収が減り続ける中、結局は対外負債の返済不能となりデフォルト(財政破綻)に至ったのです。
 
 もう一度書いておきます(しつこいほど繰り返したいのです)。
 
 ギリシャはPBが赤字だから財政破綻したのではありません。PBが黒字化するほど緊縮財政を実施し、デフレが悪化し、税収が減り、財政破綻したのです。
 
 ギリシャは「緊縮財政の犠牲者」なのです。
〜〜〜〜〜〜以上、全文引用〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜