【国内問題】【青木泰樹】100回の嘘と101回の正論

【国内問題】【青木泰樹】100回の嘘と101回の正論

 経済学者・青木泰樹さんの、今の財政に対する とっても真っ当な評価である。経済学者なので、言葉遣いは経済学の世界の表現などを使っていて少し硬い表現になっているが、難しい経済理論を喋っている訳ではなく、一般人でも容易に理解できる内容、真っ当な内容を言っているだけなので、ゆっくり読めば多分、誰にでも分かると思う。
 以下、記事原文と、私の意訳(分かり易く噛み砕いた表現)を対比させてみる。黒字が記事原文、青字が私の意訳である。
【凡例】

区別 内容
原文 あいうえお
意訳 あいうえお

〜〜〜〜〜ここから〜〜〜〜〜

区別 内容
原文 いよいよ五月になりました。今後の日本経済の浮沈を左右する本年最大のイベント、安倍総理の消費税再増税に関する決断の時期が近づいてまいりました。予定通り実施か、延期か、凍結か(最も望ましい5%への減税は無理でしょうが)。
意訳 意訳は不要。原文のままで分かる
区別 内容
原文 5月18日には、増税可否の判断材料の一つとされている2016年1〜3月期のGDP速報値が公表されます。あまり良い数字は出ないと予想されていますが、実際はどうなるでしょう。
意訳 意訳は不要。原文のままで分かる
区別 内容
原文 直近の2015年10〜12月期の実質GDPが前期比▲0.3%でしたから、ここでマイナスにでもなれば定義上はリセッション(景気後退)となります。
意訳 意訳は不要。リセッションは経済用語で、GDP成長率が2期連続でマイナスだとリセッション(景気後退)と定義している。
区別 内容
原文 3〜4月に官邸が主催した「国際金融経済分析会合」にて世界的に著名なクルーグマン教授やスティグリッツ教授が増税延期と財政出動の必要性を総理に説いたと報じられていますし、伊勢志摩サミットでも財政出動が主要テーマになるとのことですから、延期の可能性が高まっていると予想する向きが多いと思われます。
意訳 意訳は不要。財政出動とは、会社で言えば「投資」のこと。節約(緊縮財政)は止めて、ここは思い切って金を使って投資しろ、「守り」の時期ではなくて「攻め」の時期だと言っている。増税は国の収入を増やして財政を建て直す目的。だけど、今は財政悪化させてでも投資して、生産増→所得増→消費増と言う経済の流れを作れと言っている。世界的に著名なノーベル賞受賞の二人の経済学者がそうしろと提言してるのだから、増税は延期の可能性が高まっていると予想する向きが多いと思われる。
区別 内容
原文 しかし、なにぶん政治の世界ですので予断を許しません。政財官の増税推進派が圧力を強めてくることも懸念されます。
意訳 意訳は不要。
区別 内容
原文 大方の予想を覆すように「予定通り増税を実施します」と総理が決断すれば、ショックは倍加するでしょうから、一気にデフレスパイラル突入という事態にもなりかねません(ショックに備え、そうした事態を想定しておくことも必要でしょう。杞憂に終わればそれに越したことはありません)。
意訳 意訳は不要。デフレスパイラルとは、負の連鎖でデフレが益々進行してしまうこと。つまり、消費減→在庫増→生産減→所得減→更なる消費減→在庫増→更なる生産減→更なる所得減→・・・ この繰り返しでデフレがどんどん悪化すること。
区別 内容
原文 本日は、財政均衡主義思想を国民にあまねく普及させようとする財務省の目論見の一端を紹介すると共に、財政に関する国民意識の意外な側面についてお話ししたいと思います。
意訳 意訳は不要。財政均衡主義とは、単年度での国の収入と支出のバランスを保つ、即ち、毎年、赤字を発生させない様に収入≧支出を崩さないと言う考え方。「国の景気状況に依っては財政赤字を出してでも投資を増やし、その結果GDPを向上させる事によって国の経済(景気低迷)を立て直し、結果として税収が増えればいいでしょう」と言う様なバクチは絶対に打たないと言う考え方。ところが、支出は確定値(年度予算に従って各省庁が必ず使う額)である事に対し、収入は確定値ではなく期待値(税収の皮算用)であるから、「捕らぬ狸の皮算用」と言う諺どおり思った様には行かない。特にデフレ期に財政均衡主義に拘ると、GDP減→税収減(企業収益悪化により法人税(会社)、所得税(個人)の税収が期待値を割り込む、消費減により消費税の税収が期待値を割り込む)→赤字国債発行(財政の収支バランスを取ったつもりが逆効果。結局、赤字)と言う真逆の結果に終わる可能性大。現に、ここ数年は財務省・政府が財政均衡主義に拘る余り、毎年赤字国債を発行するハメになり、国債残高(政府の借金)は増え続けている。
区別 内容
原文 財務省は、なぜ景気状況に関わりなく単年度の財政均衡主義(プライマリー均衡:PB)に固執するのでしょうか。景気変動が不可避な現実経済にあって一時的にプライマリー均衡を達成する意味(国民生活へのメリット)を論理的に示すこともなく、その達成のためのコスト(国民生活への打撃)を説明することもありません。普通は両者を比較してから結論を出しますよね。
意訳 財務省は、なぜ現実の景気状況も考慮せずに、単年度での財政均衡(収入≧支出)に拘るのか。景気は当然変動するものなのに、それを考慮しないで財政均衡に拘る理由を国民に説明する事もしなければ、その拘りのために国民の暮らしに対してどれだけ影響を与えると考えているのかも全く説明しない。本来なら、前者(拘る理由)と後者(拘りがもたらす国民の暮らしへの影響)を比較評価した上で、方向(政策。拘るべきか拘らざるべきか)を決めるべきである。
区別 内容
原文 おそらく「健全なる財政状態」を「財政均衡もしくはPBを達成した状態」であると短絡的に考えているのでしょう。そこに「国家目線(国民経済がどういう状況かという大局観)」を欠いているのが最大の問題です。
意訳 多分、単年度の財政均衡(収入≧支出)を保つことが健全な財政状態だと単純に思い込んでいて、要は、肝心の国民の事など頭に無いのでしょう。経済面の政治の目的、即ち、経世済民(世を治め(経め)民を助ける(済ける)。即ち、国民の暮らしを豊にすること)と言う真の目的を忘れているのでしょう。それが最大の問題なのです。
区別 内容
原文 国家の目標は、経済面に限って言えば、「国民経済の健全化」ですから、本来それと両立する財政運営が財務省の目標とする「健全なる財政」でなければなりません。具体的には、国民経済を健全化させる財政運営(デフレ不況期にあっては財政赤字を、景気過熱期にあっては財政黒字を目指す)を図ることが「健全なる財政」の姿なのです。あくまでも国民経済が「主」であり、財政は「従」なのです。財務省は、そこに思い至らず、国民経済の動向を無視して自省の目標(PB目標)に固執しています。財政を「主」と誤解しているのです。
意訳 意訳は不要。一箇所だけ補足すると、デフレ不況期にあっては、財政赤字にしてでも国民経済を健全化させる財政運営をし、景気過熱期にあっては財政黒字を目指す、即ち、国債残高を減らす(借金を返す)と言う事。
区別 内容
原文 しかし、「財政均衡した社会」が「国民にとって理想の社会」であることを論理的に証明しない限り、財務省の掲げる目標が国家の目標たりえないことは明白です。もちろん、そんな理屈は経済学の何処を探しても見つかりません。なぜなら、財政均衡は、主流派経済学の予算(所得)制約式にすぎないからです。それは理論を発散させないためのただの前提条件であって、到達すべき目標(主流派的に言えば主体的均衡の達成された状態)ではないのです。財政均衡主義に幾ばくかの説得力があるとしても、それは個人の家計と政府の財政を同一視させるトリックに依存したものにすぎません。
意訳 財政均衡させる事が国民の暮らしを豊かにする事に繋がるのだと、国民が納得できる様な理に叶った説明が出来ない限り、国家の目標にしてはならない。そもそも、財政均衡と言う考え方は、現在の主流派の経済学理論における経済モデルで導かれる結論に過ぎず、その経済モデルは当然ながら現実の複雑な経済実情に適用できる訳はなく、従って、ムリヤリその経済モデルで経済現象を説明できる様にするために、色々な制約条件(現実の経済状況で起きる各種の例外現象をモデルの対象外にするための制約条件)を付けたものであって、その様な現実の世界には適用できない様な経済モデルで導き出した結論を国家の財政の目的にする事など出来る訳がないのは明白である。財政均衡と言う考え方は、幾らかはナルホドと思える点もあるかも知れないが、所詮、「個人の家計や企業の会計(ミクロ経済)」と「政府の財政(マクロ経済)」は全くの別物であると言う、経済学では常識の事を、経済のプロである財務省が知らない訳が無いのに、それらを一緒くたにした間違った発想(多分、国民を欺く誤魔化し)で考えているに過ぎない。
区別 内容
原文 結局、財務省は、主流派以外の経済論理も、現実経済も、国民も、もちろん経世済民思想も全く考慮していないのです。「社会がどうなろうとも、財政均衡を達成しなければならない」と考えているとしか思われません。こうなると、もはや理屈云々ではなく、財政均衡を奉(たてまつ)る信仰に近いように思えます。
意訳 意訳は不要。
区別 内容
原文 国民にとっては大迷惑な話ですが、財務省による財政均衡プロパガンダが止むことはありません。否、かえって強化されようとしていることをお伝えしなければなりません。
意訳 意訳は不要。プロパガンダとは、誘導操作、思い込ませること。
区別 内容
原文 財務省の方針決定に与かるのは財務官僚および財務大臣副大臣等でありますが、政策策定の場に大きな影響を及ぼすのが民間の有識者からなる審議会や研究会です。その中でも財務相の諮問機関である「財政制度等審議会(財制審)」は、毎年「予算編成に関する建議」を答申する有力な審議会です(現会長は吉川洋立正大学教授)。もちろん、財務省の主張を代弁する経済学者達が主導する審議会ですから、増税と歳出カットの嵐のような答申をするわけです。今般、思わず私が眉をひそめたのは、その審議会で本年4月15日に開催された「財政制度分科会」の議事内容です(下記参照)。http://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/outline/zaiseia280415.html
意訳 意訳は不要
区別 内容
原文 その後段に「財政教育は、学校教育において、小中高それぞれの段階でしっかりと行っていくべき」であり、「財政の課題を適切に反映させ、学習指導要領をしっかり充実させることも重要」とあります。また、「社会保障が子ども達にとって将来最大の問題となることを踏まえ、受益と負担についてしっかりと教育していく必要」があり、「財政健全化には国民全体で問題を共有し、コンセンサスをとるべきであり、そのためには、簡略なパンフレットのような題材などを用いて、情報をできるだけ分かりやすく発信することも重要」と結んでいます。
意訳 意訳は不要
区別 内容
原文 簡単に言えば、「財政均衡主義思想を学習指導要綱に載せて小中高生から教え込め」ということです。そして財務省脳に染まった健全な大人、例えば「消費税率を上げないと日本は不幸な国になる。国の借金が増え続けているというこの現実を、もっとみんなが共有しなければならない」と主張する経済同友会の小林喜光代表幹事のような人になりなさいと言っているのです。http://www.nikkei.com/article/DGXLASFL12HM2_S6A410C1000000/
意訳 意訳は不要
区別 内容
原文 財務省HPの「日本の財政を考える」コーナーも動画などを取り入れて、以前にもまして財政危機を煽り、消費増税不可避の雰囲気を醸造しておりますが、今回の分科会の議論は、そうした「嘘」を教育現場に持ち込もうとしているわけですから極めて罪が深い。何か一種の思想教育を目論んでいるように思えます。
意訳 意訳は不要
区別 内容
原文 財務省プロパガンダもそうですが、財務省に忠誠をつくす経済学者の詭弁に辟易します。うんざり。
意訳 意訳は不要
区別 内容
原文 財制審メンバーの土居丈朗慶應義塾大学教授が「家計所得低迷の原因は、実質所得低迷にあり、消費増税のせいにしていては何も解決しない」という論考を発表しています。http://toyokeizai.net/articles/-/112008要約すると、「消費増税は一年間しか実質所得低下の原因とはならない(物価上昇率は前年同月比で測定するため)。それゆえ増税から一年経過した2015年4月以降の家計所得の低迷は、消費増税によるものではなく、実質所得の減少が原因である。実質所得が低迷するのは賃金が上昇しないからである。賃上げに必要なのは一時的な財政出動ではなく、労働生産性の向上を図ることだ」と。最後は予定調和的なお決まりパターンです。「消費増税の影響は一年だけだから、今度の増税もみんな一年だけ我慢して将来に備えましょう」と言いたいのです。
意訳 物価上昇率は、前年と当年の物価を比較して出す数値。だから、消費増税による物価上昇は増税前の年と増税した年の比較時に現れるものであって、増税した年と次の年を比較した結果の物価上昇率には、消費増税の影響は含まれない。どちらも消費増税して上がった物価がベースになっているのだから同じ数値。従って、確かに消費増税した年の家計所得低迷の原因は消費増税かもしれないが、その次の年の家計所得低迷まで原因が消費増税というのは間違いである。原因は単に賃金が上がらない事である。賃金が上がらないのは、賃上げに見合う成果の拡大、即ち労働生産性の向上が無かったからであり、政府が財政出動したかどうかは全く関係無い。と財制審メンバーの土居丈朗慶應義塾大学教授は言いたいのだ。更に10%への消費増税でも1年だけ我慢すれば良い話だと言いたいのである。
区別 内容
原文 簡単に論駁しておきます。土居氏は、「消費増税の影響は物価上昇による一時的な実質所得の減少である」と限定して考えています。しかし、消費増税は物価水準の上昇を通じて実質所得を減少させる効果ばかりでなく、全ての消費財価格を上昇(前回は3%)させることで直接的に消費需要を減少させる効果も併せもっています。土居氏は、この消費増税による「物価の高止まり」を意図的に無視しています。一年間で消費増税の影響が終わるわけはありません。二年目も三年目も、ずっと物価の3%の高止まりは続くのですから、(他の事情が一定であれば)消費増税前より消費需要は減少した水準で推移していくのです。これが悪影響でなければ、何なのでしょう。
意訳 実質所得とは、名目所得(給料の額)に物価上昇率を加味したもの。従って、給料が1%上がっても物価が3%上がったら、実質所得は2%下がったのと同じ。土居氏は、消費増税の影響について、意図的に、この実質所得への影響だけしか考えていないので、影響するのは増税で物価上昇する年だけであり翌年以降は物価上昇しないので影響ないと言っている。しかし、消費増税で上がった物価はそのまま上がったままなのだから、更なる物価上昇がなくても消費低迷(財布の紐が締まるの)は、2年目、3年目も続く。これを消費増税の影響と言わずして何と言うのか。
区別 内容
原文 もう一言しておきます。当然のことですが、消費増税の影響を見るには、「増税前」と「増税後」の実質所得を比較しなければなりません。消費増税によってガクンと落ちた「消費増税後の実質所得」と「現在の実質所得」を比べて、消費増税の影響は無いといったところで説得力はありません。「現在の実質所得」と比べるべき対象は「消費増税前の実質所得」なのです。土居氏の話が、統計概念(一年前との比較)を利用した詭弁であると断じるのはこうした理由からです。
意訳 実質所得と言う観点に絞って消費増税の影響を見ると言うのであれば、比較すべき対象は、消費増税前と消費増税後の実質所得であって、消費増税により落ちてしまった以降の2つの年の実質所得を比較しても意味が無い。土居氏が詭弁を弄して国民を欺いていると言うのは、こういう点だ。
区別 内容
原文 実際は、消費増税によって消費需要が減り、それが所得減として現在まで続いているのが現状でしょう。誰にもわかることです。目をつぶって見ないようにしているのは財制審の経済学者(砂もぐりしている駝鳥?)だけしょう。
意訳 実際は、消費増税によって消費需要が減り、消費需要減→在庫増→生産減→所得減と言う結果になって現在まで、所得減のまま続いているのが現状。誰にでも分かること。目をそらして見ようとしないのは財政審の経済学者(増税前に、消費増税は景気悪化に影響しないと口を揃えて言った学者ども)だけだろう。責任取れよ。オイ、コラ!
区別 内容
原文 ただ一筋の光明が見えました。財務省プロパガンダや御用学者の詭弁という攻勢にも関わらず、国民は健全な判断をしつつあるかもしれないという統計数値に出会いました。常々、経世済民の言論活動をしていても、なかなか国民の意識を動かすには程遠いと無力感を感じることもあるのですが(でも止めません)、「現実はそうでもないかな」と思い直しました。
意訳 ただ、明るい兆しも見えてきた。財務省の誘導操作(誤魔化し)や御用学者(政府の犬に成り下がった学者)の詭弁にも騙されず、国民は健全な判断をしつつあるかもしれないという統計データを見つけた。常々、経世済民の言論活動(民の暮らしを豊にする事が財政の目的だと言う説明)をしていても、なかなか国民の意識を動かすには至らないと無力感を感じていたが、そんなことはない、言論活動の成果は出て来ていると思い直した。
区別 内容
原文 長いので以下を参照。
意訳 国債残高(政府の借金)が増え続けていると言って、財務省、経済学者、マスコミ人がこぞって財政危機を煽ってきたが、国民の方は、それに惑わされず、財政が悪化していると感じる人の割合が減って(財政は悪化などしていないと感じる人の割合が増えて)来ており、財政について正しい認識を持ち始めた国民が増えて来たのは嬉しいことである。
補足 原文にはないが補足すると、政府の借金(即ち、日本国債)は、100%円建て(額面が円、円の貸し借り)なので、100%日本国内に閉じた借金。海外から借りた金ではない。しかも、返すお金は当然、円(日本銀行券)だが、通貨発行権を持っているのは政府の子会社である日本銀行。だから、いざとなればお札を刷れば何時でも返せる。現に、日銀がここ数年、「黒田バズーカの金融緩和」と言って毎年80兆円前後の日本国債を買取っている(即ちお札を刷っている)ので、政府の借金は実質、何100兆円も減少している。また、日本国債は返さなくても、借り換え(返済期限が来た古い借金を新しく借金した金で返す)でも良い。勿論、日本円がどこぞの国の通貨の様に信用が無くて誰も日本国債を買ってくれないなら円の価値が下落して超インフレになって問題だが、今や、日本(円)はマイナス金利の時代。こちらが利子を払うから借りてくれ(国債を売ってくれ)と言うほど円という通貨の信用度は高い。恐らく世界1位か2位。何の心配もない。国債が足りなくて困っている(政府がもっと借金しないから困っている)くらい。

[以下、原文]
内閣府が4月に発表した「社会意識に関する世論調査」(下記資料参照)に「国の政策に対する評価について」という調査項目があるのですが、そこに興味深い事実を見つけました。
http://survey.gov-online.go.jp/h27/h27-shakai/gairyaku.pdf
調査項目に「現在の日本の状況について悪い方向に向かっていると思われる分野」についての質問があります(資料P.19)。
複数回答可で選択肢が何項目も列挙されているのですが、悪い方向へ向かっている分野の第一位は「国の財政」で、38%でした(国の財政という用語は問題ですが)。
これだけ見ると、日本人の多くは財政問題を最も心配しているのだと思いがちですが、実はそうではないのです。
このアンケート調査には、平成10年からの時系列データが添付されています(資料P.20)。
それを見ますと、財政が悪化していると考えている人の割合がここ数年でかなり大きく減少していることがわかります。
景況感とも関係しているのかもしれませんが、リーマンショック直前で68%を超えていた数値が、それ以降、徐々に低下を続け、現在の水準(38%)に至っています。
この期間中、もちろん国債残高は増え続けており、2008年度末残高の546兆円が2015年度末には807兆円になりました。
客観的状況と軌を一にして、以前と同様、財務省も、経済学者も、マスコミ人も財政危機を煽ってきました。
しかし、そうしたプロパガンダにも関わらず、「財政は悪化していない」と考える人の割合が増え続けていたのです(今や62%!)。
国民が次第に正しい財政観を得てきたと言い切るには時期尚早でしょうが、ここ数年、さまざまなメディアを通じた良識ある論者たちの正しい財政知識の普及活動が徐々に実を結んできたのかもしれません。
[以上、原文]

区別 内容
原文 財務省が100回嘘をついてきたとしても、飽くことなく、101回の正論で返答する必要性を痛感した次第です。読者の皆様、有識者の皆様、あきらめてはなりません。未来はここからです。
意訳 意訳は不要