【時事】これだけを見ても、如何に安倍政権が独裁的で常軌を逸した行動を取っているかが分かる。

【時事】これだけを見ても、如何に安倍政権が独裁的で常軌を逸した行動を取っているかが分かる。
2017年05月31日(水) くもり

表題の「これだけを見ても」の「これだけ」とは、テロ等準備罪(いわゆる共謀罪)についての政府の法制化の進め方のことである。特に、国連特別報告者であるジョセフ・ケナタッチ氏からの安倍首相宛の書簡に対する扱いが酷い。とにかく、一つずつ内容を明確にしておく。
■ジョセフ・ケナタッチ氏の安倍首相宛の書簡(和訳)
 国連特別報告者ジョセフ・ケナタッチ氏 共謀罪法案について安倍内閣総理大臣宛の書簡全体の翻訳
 一読すれば分かるが、非常に正確に論理的に文章を展開しており、真摯な姿勢が感じられる。安倍政権への意図的、攻撃的な主張など一切ない。
 〜〜〜〜〜以下、全文引用〜〜〜〜〜 (赤文字は、私が挿入した補足。緑文字は私が強調したい箇所))
国連人権高等弁務官事務所
パレスデナシオンズ・1211ジェネバ10、スイス
TEL:+ 41229179359 / +41229179543・FAX:+4122 917 9008・E-Mail:srprivacy@ohchr.org
プライバシーに関する権利に関する特別報告者のマンデート   参照番号JPN 3/2017 2017年5月18日
内閣総理大臣 閣下
私は、人権理事会の決議28/16に基づき、プライバシーに関する権利の特別報告者としての私の権限の範囲において、このお手紙を送ります。
 国連人権理事会の決議に基づく、プライバシーに関する権利の特別報告者としての私の権限⇒特別報告者と作業部会
これに関連して、組織犯罪処罰法の一部を改正するために提案された法案、いわゆる「共謀罪」法案に関し入手した情報について、閣下の政府にお伝え申し上げたいと思います。もし法案が法律として採択された場合、法律の広範な適用範囲によって、プライバシーに関する権利と表現の自由への過度の制限につながる可能性があります
入手した情報によりますと次の事実が認められます:
組織的犯罪処罰法の一部を改正する法案、いわゆる共謀罪法案が2017年3月21日に日本政府によって国会に提出されました。改正案は、組織的犯罪処罰法第6条(組織的な殺人等の予備)の範囲を大幅に拡大することを提案したとされています。
手持ちの改正案の翻訳によると、新しい条文は次のようになります:
6条 (テロリズム集団その他の組織的犯罪集団による実行準備行為を伴う重大犯罪遂行の計画)
次の各号に掲げる罪に当たる行為で、テロリズム集団その他の組織的犯罪集団(団体のうち、その結合関係の基礎としての共同の目的が別表第三に掲げる罪を実行することにあるものをいう。次項において同じ) の団体の活動として、当該行為を実行するための組織により行われるものの遂行を二人以上で計画した者は、その計画をした者のいずれかによりその計画に基づき資金又は物品の手配、関係場所の下見その他の計画をした犯罪を実行するための準備行為が行われたときは、当該各号に定める刑に処する。ただし、実行に着手する前に自首した者は、その刑を減軽し、又は免除する。
安倍晋三首相 閣下
内閣官房、日本政府
さらにこの改正案によって、「別表4」で新たに277種類の犯罪の共謀罪が処罰の対象に加わることになりました。これほどに法律の重要な部分が別表に委ねられているために、市民や専門家にとって法の適用の実際の範囲を理解することが一層困難であることが懸念がされています。
加えて、別表4は、林保護区域内の林業製品の盗難を処罰する森林法第198条や、許可を受けないで重要な文化財を輸出したり破壊したりすることを禁ずる文化財保護法第193条、195条、第196条、著作権侵害を禁ずる著作権法119条など、組織犯罪やテロリズムとは全く関連性のないように見える犯罪に対しても新法が適用されることを認めています。
 テロとどういう関係があるのか、サッパリ分からない。しかも、実行してもいないのに考えただけで処罰される項目に何故、こんな罪名を含める必要があるのかもサッパリ分からない。
新法案は、国内法を「国境を越えた組織犯罪に関する国連条約」に適合させテロとの戦いに取り組む国際社会を支援することを目的として提出されたとされます。しかし、この追加立法の適切性と必要性については疑問があります。
政府は、新法案に基づき捜査される対象は、「テロ集団を含む組織的犯罪集団」が現実的に関与すると予想される犯罪に限定されると主張しています。しかし、「組織的犯罪集団」の定義は漠然としており、テロ組織に明らかに限定されているとはいえません
定義が曖昧なのに、どういう根拠で「限定される」と言ってるのか? 誰が対象/対象外を判定するのか? 裁判になったときに、定義が曖昧では、その判定が正しいか間違いかを裁判官が裁定できないでしょう?
新たな法案の適用範囲が広い点に疑問が呈されていることに対して、政府当局は、新たな法案では捜査を開始するための要件として、対象とされた活動の実行が「計画」されるだけでなく、「準備行為」が行われることを要求していると強調しています。しかしながら、「計画」の具体的な定義について十分な説明がなく「準備行為」は法案で禁止される行為の範囲を明確にするにはあまりにも曖昧な概念です。
定義が曖昧、行為の範囲が曖昧では、誰が対象/対象外を判定するのか?  裁判になったときに、定義が曖昧では、その判定が正しいか間違いかを裁判官が裁定できないでしょう? そもそも、裁判沙汰以前に、官憲の捜査が入る事自体がプライバシーの侵害でしょ?
これに追加すべき懸念としては、そのような「計画」と「準備行動」の存在と範囲を立証するためには、論理的には、起訴された者に対して、起訴に先立ち相当程度の監視が行われることになると想定されます。
 この法律に抵触するかしないかを判断する前に、監視をするのだから、完全なプライバシーの侵害でしょ? 監視した結果、対象外だったら、どうしてくれるの?
このような監視の強化が予測されることから、プライバシーと監視に関する日本の法律に定められている保護及び救済の在り方が問題になります
NGO、特に国家安全保障に関する機密性の高い分野で活動するNGOの業務に及ぼす法律の潜在的影響についても懸念されています。政府は、法律の適用がこの分野に影響を及ぼすことがないと繰り返しているようです。しかし、「組織的犯罪集団」の定義の曖昧さが、例えば国益に反する活動を行っていると考えられるNGOに対する監視などを正当化する口実を作り出す可能性があるとも言われています。
一番簡単な例として、政府が決めた米軍基地の辺野古移転を反対する住民は、デモや座り込みを計画しただけで(実行もしてないのに)逮捕される事になるでしょ。
最後に、法律原案の起草に関する透明性の欠如と、今月中に法案を採択さえようとする政府の圧力によって、十分な国民的議論の促進が損なわれているということが報告で強調されています。
提案された法案は、広範な適用がされる可能性があることから、現状で、また他の法律と組み合わせてプライバシーに関する権利およびその他の基本的な国民の自由の行使に影響を及ぼすという深刻な懸念が示されています。とりわけ私は、何が「計画」や「準備行為」を構成するのかという点について曖昧な定義になっていること、および法案別表は明らかにテロリズムや組織犯罪とは無関係な過度に広範な犯罪を含んでいるために法が恣意的に適用される危険を懸念します。
 だから、戦前の治安維持法と同じだと言われるんですよ。言論弾圧、思想弾圧だよ。
法的明確性の原則は、刑事的責任が法律の明確かつ正確な規定により限定されなければならないことを求め、もって何が法律で禁止される行為なのかについて合理的に認識できるようにし、不必要に禁止される行為の範囲が広がらないようにしています。現在の「共謀罪法案」は、抽象的かつ主観的な概念が極めて広く解釈され、法的な不透明性をもたらすことから、この原則に適合しているようには見えません
プライバシーに関する権利は、この法律の幅広い適用の可能性によって特に影響を受けるように見えます。更なる懸念は、法案を押し通すために早められているとされる立法過程が、人権に悪影響を及ぼす可能性がある点です。立法が急がれることで、この重要な問題についての広範な国民的議論を不当に制限することになります。
マンデートは、特にプライバシー関連の保護と救済につき、以下の5点に着目します。
1 現時点の法案の分析によれば、新法に抵触する行為の存在を明らかにするためには監視を増強することになる中にあって、適切なプライバシー保護策を新たに導入する具体的条文や規定が新法やこれに付随する措置にはないと考えられます。
 「対象が限定される」と口先だけで言っても意味なし。「限定される」ための新たな保護策、条文などを追加することを考えろ。
2 公開されている情報の範囲では、監視に対する事前の令状主義を強化することも何ら予定されていないようです。
 好き勝手に盗聴・監視(プライバシーの侵害)して良いことになってるでしょ?
3 国家安全保障を目的として行われる監視活動の実施を事前に許可するための独立した第三者機関を法令に基づき設置することも想定されていないようです。このような重要なチェック機関を設立するかどうかは、監視活動を実施する個別の機関の裁量に委ねられることになると思われます。
 要するに、官憲が勝手に国民を盗聴・監視して良いと言うことでしょ?
4 更に、捜査当局や安全保障機関、諜報機関活動の監督について懸念があります。すなわちこれらの機関の活動が適法であるか、または必要でも相当でもない手段によりプライバシーに関する権利を侵害する程度についての監督です。この懸念の中には、警察がGPS捜査や電子機器の使用の監視などの捜査のために監視の許可を求めてきた際の裁判所による監督と検証の質という問題が含まれます。
 官憲がどれだけプライバシーの侵害をして盗聴・監視しようが、監督する(実態を把握する)仕組みがないので、官憲のやりたい放題だということ。
5 嫌疑のかかっている個人の情報を捜索するための令状を警察が求める広範な機会を与えることになることから、新法の適用はプライバシーに関する権利に悪影響を及ぼすことが特に懸念されます。入手した情報によると、日本の裁判所はこれまで極めて容易に令状を発付するようです。2015年に行われた通信傍受令状請求のほとんどが認められたようです(数字によれば、却下された令状請求はわずか3%以下に留まります。)
私は、提案されている法改正及びその潜在的な日本におけるプライバシーに関する権利への影響に関する情報の正確性について早まった判断をするつもりはありません。ただ、閣下の政府に対しては、日本が1978年に批准した自由権規約(ICCPR)17条1項によって保障されているプライバシーに関する権利に関して国家が負っている義務を指摘させてください
自由権規約第17条第1項は、とりわけ個人のプライバシーと通信に関する恣意的または違法な干渉から保護される権利を認め、誰もがそのような干渉から保護される権利を有することを規定しています。
さらに、国連総会決議A/RES/71/199も指摘いたします。そこでは「公共の安全に関する懸念は、機密情報の収集と保護を正当化するかもしれないが、国家は、国際人権法に基づいて負う義務の完全な履行を確保しなければならない」とされています。
 要は、テロ等準備罪の現法案は、日本が1978年に批准した自由権規約にも、国連総会決議「国際人権法で規定した義務の完全履行」にも違反している。
人権理事会から与えられた権限のもと、私は担当事件の全てについて事実を解明する職責を有しております。つきましては、以下の諸点につき回答いただけますと幸いです。
1.上記の各主張の正確性に関して、追加情報および/または見解をお聞かせください。
2.「組織犯罪の処罰及び犯罪収入の管理に関する法律」の改正法案の審議状況について情報を提供して下さい。
3.国際人権法の規範および基準と法案との整合性に関して情報を提供してください。
4.法案の審議に関して公的な意見参加の機会について、市民社会の代表者が法案を検討し意見を述べる機会があるかどうかを含め、その詳細を提供してください。
 国連人権委員会で認められた権限のもとに、自分は事実解明の責務を負っているので、そのための追加情報を提供して欲しいと言ってるだけ。
要請があれば、国際法秩序と適合するように、日本の現在審議中の法案及びその他の既存の法律を改善するために、日本政府を支援するための専門知識と助言を提供することを慎んでお請け致します。
最後に、法案に関して既に立法過程が相当進んでいることに照らして、これは即時の公衆の注意を必要とする事項だと考えます。したがって、閣下の政府に対し、この書簡が一般に公開され、プライバシーに関する権の特別報告者のマンデートのウェブサイトに掲載されること、また私の懸念を説明し、問題となっている点を明らかにするために閣下の政府と連絡を取ってきたことを明らかにするプレスリリースを準備していますことをお知らせいたします。
閣下の政府の回答も、上記ウェブサイトに掲載され、人権理事会の検討のために提出される報告書に掲載いたします。
閣下に最大の敬意を表します。
ジョセフ・ケナタッチ
プライバシーに関する権利の特別報告者
〜〜〜〜〜以上、全文引用〜〜〜〜〜
■この書簡に対する日本政府の反応(無礼な対応)
 菅官房長官、国連特別報告者を「個人」呼ばわり、「質問」に抗議
明らかなウソによる日本国民に対する印象操作である。国連から任命された国連特別報告者による認められた権限の範囲での提言なのに、「個人」呼ばわりし、「何か背景があるのではないかと思わざるを得ない」とは無礼千万。ケナタッチ氏の書簡は国連ホームページにもpdf文書で掲載されている。
これに対し、日本政府からの返答は中身のない不満だけの内容だったらしい。
G7渡航中に国連事務総長と会談した安倍首相が、またまた、会談内容をすり替えてウソで固め、日本国民を印象操作
国連事務総長は、ケナタッチ氏(国連特別報告者)のことを、他からの干渉を受けることなく独立した権限で活動するのが認められている人だと言ったのに、国連とは関係ない個人だと日本のメディアに伝え、日本のメディアが、これを鵜呑みにして国内に報道した様である。以下は、その誤りを正している記事。
 再確認、ケナタッチ国連特別報告者について、国連事務総長が安倍首相に「個人の資格で活動しており、必ずしも国連の総意を反映するものではない」と述べたとか、下記の外務省発表をそのまま垂れ流した日本のメディア
 安倍首相がサミットデマ吹聴!“G7が共謀罪後押し”“国連事務総長「共謀罪批判は国連の総意でない」”は全部嘘だった!