カナディアン・ロッキー旅行2013 (5) 〜ヨーホー国立公園とモレーン湖観光〜
2013年10月2日(水)〜10月8日(火)
更新:2023年12月25日(月)
■10月4日(金) 晴れ
【8】朝の散歩(ボウ滝)
この日は、前日と同じくらいの時間に起きたが、集合時刻が前日より1時間遅いので、余裕がある。
そこで、昨日朝のホテル出発時に、ホテル近くに現れたエルク(鹿)が、この日も来ているかもしれないと思い、ホテルの周りを少し散歩することにした。
部屋で朝食を済ませたあと、まだ夜明け前で外は薄暗かったが、既に何人かの宿泊客が、ジョギングを初めていた様なので、我々夫婦も、早速散歩に出掛けた。
しかしながら、昨日、エルクを見かけたホテル下の広場には、残念ながらエルクの姿は無かった。
バンフ市街への下り坂を降りて、最初の交差点を右に曲がると、ボウ滝方面への道である。
まだ薄暗いので、少し不気味ではあったが、そのまま車道を先に進むと左手にボウ滝への散策路入口が目に入った。
車道とは違い、林の中の細い小径なので不気味さが増す。
熊と遭遇でもしたら どうしようかとも思ったが、まあ、車道がすぐ近くを走っているのだから大丈夫だろうと自分に言い聞かせて、散策路に踏み込むことにした。
散策路をしばらく歩くうちに、滝の音が聞こえて来て、左手に、薄暗いながらも水の流れが見えて来た。
やがて、川沿いに手すりが整備された遊歩道になったので、人工物を見て、少し安堵し先に進む。
そこは、ちょうどボウ滝の上流に位置し、滝を見下ろすことが出来る。
そして、最後の階段を降りると、一昨日に訪れたボウ滝の下のポイントに出た。
その頃には、ようやく空も白み始めた様である。
ボウ滝をあとに、帰りは車道に沿ってホテルの方に歩き始めたところ、道の端に鹿独特の丸い糞を発見。エルクが残した跡らしい。
もしかしたら、この日も、エルクが昨日の場所(ホテル下の広場)に再来しているのかもしれない。
そして今度は、道の左手の林の木の上で、何かが鳴く声が聞こえ始めた。
近づいてみると、リスが、木の上を走り回っているのが見えた。まさか、リスが鳴くとは、この時まで知らなかった。
緩やかな坂道を上り、元の交差点まで戻った辺りで、異様な臭いを感じた。鹿の糞と似た様な臭いである。
交差点を左折して、ホテルに戻る途中、もう一度、昨日エクルを見かけた広場に目をやったのだが、やはりエルクは来ていない。
ただ、広場の奥の方に、鹿の色と似た薄茶色の塊が目に入ったので、カメラの望遠レンズで確認したが、塊は全く動いていないので、やはりエルクじゃないと思い視線を外す。
そして、広場を一通り見回したところ、別のところに、同じ様な色の塊が見えた。
再び、望遠レンズで確認したところ、今度は、間違いなく角を生やした雄鹿であることを確認。
二日続けて、エルクが来た様である。
最初に確認した方の、薄茶色の塊を再度凝視してみると、動いていなかった塊が少し動いた。
エルクは、昨日と同様、2頭来ていた様である。
近寄りたいのは山々であるが、発情期の雄は危険と聞いていたので、道から望遠カメラで撮影するに留めることにした。
【9】タカカウ滝
部屋に戻り、寛いでいるうちに、完全に夜が明けて来た。
バンフは、3日目も快晴である。
前日の嘉山さんが言っていたが、このお天気は、カナディアンロッキーでも、珍しいくらいの好天らしい。
本日の予定は、「ヨーホー国立公園とモレーンレイク1日観光」と言う名前のオプショナルツアーである。
また、集合時刻15分前の8:30にロビーに降りる。
この日のガイドさんは、鷲尾さんと言う女性であり、ほぼ定刻にホテルに迎えに来た。
本日の参加者は、3組6名とのことであったが、うち1組は、前日に「アサバスカ氷河観光」をご一緒した新婚さんだと分かっているので、新しいメンバは、もう1組である。
バンフ市街のホテルで2組のカップルを拾い、この日の観光に出発。
もう一組のカップルも、若い二人であったが、新婚さんなのか恋人同士なのかは分からない。
先方からは何も言わないし、こちらから、アレコレと詮索する訳にも行かないので、まあ、挨拶だけして、そのまま一緒に周る。
最初は、昨日と同様、国道1号線を走り、キャッスルマウンティンの近くにあるお土産屋さんでトイレ休憩したあと、先へと進む。
昨日は、レイク・ルイーズ入口の少し先で、国道93号線(アイスフィールド・パークウェイ)の方に分岐したが、この日は、国道1号線を直進である。
工事中区間を抜けて、上り道を上がって行くうちに、峠に到達。アルバータ州とブリティッシュコロンビア州の州境であるキッキング・ホース峠である。
キッキング・ホースは「蹴る馬」と言う意味であるが、名前の由来は、19世紀半ばに この辺りの調査が行われた際に、調査隊の一員であった地質学者で外科医のジェームス・ヘクターと言う人が、この辺りで、自分の馬に蹴られて気を失ったことに因んで付けられた名前だそうである。
この時、彼はずっと意識が戻らず、一度は死亡宣告されたそうであるが、埋葬される寸前に息があることが分かり、穴から引きずり出されたそうである。
峠を越えて暫く進むと、国道1号線から、ヨーホー川に沿って右に入る道がある。ヨーホー・バレー道路と言う道である。
ヨーホー川の水は、雪融け水を含んで乳白色をしている。
また、このヨーホー・バレー道路には、一部、急勾配の部分があり、列車が急勾配を登る時の方式である「スイッチバック方式」を道に取り入れた箇所がある。
我々の車はワゴン車なので、スイッチバックしなくても、何とかハンドルを切って、前進だけで登って行けるのだが、車体の長いバスは、急勾配の急カーブを回り切れないので、前進、後退を繰り返して、ギザギザに進んで登って行くそうである。
バス会社の新人研修では、ここに来て、スイッチバックの訓練をするんだとか。
急勾配の箇所を過ぎて、更に奥に入って行くと、右手に断崖から流れ落ちる滝が目に入って来る。タカカウ滝である。
最初、タタカウ(戦う)滝かと思って、面白い名前だと思ったら、タカカウ滝の間違いだった(笑)。
駐車場に車を置いて、散策路を歩いて奥に入って行くと、滝のすぐ下まで行くことが出来る。
この滝は、落差が254mあり、カナディアン・ロッキーの中では、最大の落差だそうである。
途中で、落水が飛散してしまうため、滝壺は出来ないとのことであった。
散策路を入って行くと、雪が残っていたり、氷が張っていたりしたが、何と、途中に熊の足跡を発見してしまった。
タカカウ滝を観光したあとは、来た道を戻り、国道1号線に戻る。
なお、このヨーホー・バレー道路は、積雪のため、例年10月初には閉鎖されてしまうらしく、今回は、閉鎖前でありラッキーであった。
【10】ナチュラルブリッジ
国道に戻り、少し進んでから右の脇道に入って行くと、本日二つ目の観光ポイントであるナチュラルブリッジに到着。
自然に出来た橋と言う意味だが、写真を見れば分かるとおり、岩盤に穴が開いて水が流れ落ちているのをナチュラルブリッジと名付けたものである。
【11】エメラルド湖
ナチュラルブリッジをあとに、更に道を奥に入って行くと、エメラルド色をした美しい湖が現れる。
単純明快な名前であるが、エメラルド湖である。
この湖は、エメラルド氷河の堆積物が流れ込んで出来た氷河湖であり、氷河の削り取った小さな岩粉が、太陽光に反射して こういう美しい色になっているそうである。
ちなみに、名付け親は、カナダ太平洋鉄道の測量班のメンバであったトム・ウィルソンと言う人であったが、彼は、最初に、今のレイク・ルイーズを発見した時に、「エメラルド・レイク」と名付けたそうである。
ところが、その後に、こちらの湖を見つけて、また「エメラルド・レイク」と名付けてしまい、エメラルド・レイクが二つになってしまったことから、最初に見つけられた方の湖が、後にレイク・ルイーズと改名されたそうである。
それにしても、このエメラルド湖の美しさは素晴らしく、日差しに依って湖面の色が変わるので、本当に、幾ら写真を撮ってもキリが無いと言うほどの美しさである。
説明のしようがないので、撮って来た写真を見て戴くしかない。
【12】モレーン湖
エメラルド湖をあとに、国道1号線に戻り、レイクルイーズ地区まで戻って来た。
ここで遅めのランチを取ったが、お店は「レイクルイーズ・ステーション・レストラン」と言う名前であり、駅を改装したお店であった。
店のすぐ裏側を、カナダ大陸横断鉄道の線路が延びており、休憩中に運良く貨物列車と遭遇することが出来た。
料理は、カボチャのスープ、シーザーサラダと、キッシュと呼ばれる卵とクリーム、タルト生地で作ったフランス郷土料理、
デザートには、スイカとメロンなどのフルーツが出て来た。
さて、ランチのあとは、本日最後の訪問地・モレーン湖に向かう。
モレーン湖は、レイク・ルイーズへの道の途中から左方向に進路を変え、奥に入って行ったところにある。
湖の背後には、テンピークス(十の峰)と呼ばれる絶壁の岩山が並び、湖の左には、バベル山、右にはテンプル山が聳えている。
湖畔から見るモレーン湖も美しいが、バベル山の手前にあるバベルの塔と呼ばれる岩山の、下部に出来たガレキの山に登って見下ろすのが また素晴らしい眺望である。
ガレキの山には、遊歩道が作られているので、難なく展望スポットまで行く事ができる。
また、このガレキの山には啼兎(なきうさぎ、ピカ)が棲息していて、運が良ければピカの姿を見ることができる。
【13】バンフ
「1日観光」からバンフに戻り、この日も、ホテルまでは送って貰わずにバンフの街で車を降りる。19時に「バンパース」と言うアルバータ牛ステーキの店を予約しているためである。
予約時間までには時間があるので、バンフの街を散策。
ガイドの鷲尾さんより、「カナディアンロッキーの写真集を買っておくと、帰国後の写真の整理に役立つ」と言うアドバイスを貰ったので、まずは、「カスケードプラザ」と言うショッピングセンター内の本屋さんで、写真集を物色。
しかしながら、どの写真集もメジャーな観光スポットの写真ばかりであり、私が思い描いている様な、細やかな内容(ガイドさん達が車中でガイドしてくれた様な、個々の山の写真と名前など)の写真集が無かったので、購入は諦めた。
そして夕食前の最後に、「ピカビレッジ」と言うお土産屋さんに立ち寄ったところ、この店も日本人が経営する店であり、日本人の琴線(きんせん)に触れる商品が沢山並んでいた。
バンフの街の散策も3日目になるが、正直なところ、地元カナダ人の店は どの店も、商品の内容、展示の仕方ともに大雑把であり、これでは購買意欲も湧かないと言うのが、私の感想であった。
しかしながら、やはり日本人の経営する店の商品には、ちょっとした工夫が施されていて、「おっ、イイじゃん」と感じる商品が多いのである。
「料理の味付け」にも共通するのかも知れないが、商品(料理)の洗練のされ方に大きな差がある様に感じた。
資源が豊富な大国の大らかさと、資源が乏しくて工夫や技術で勝負するしかなかった日本の勤勉さの間の、歴史的な積み重ねの差なのだろう。
そのピカショップで見つけた写真集は、「日本人ガイドが書いたカナディアンロッキー ガイドブック&写真集」と言う標題の写真集であり、私が思い描いていたとおりの、いわゆる「痒い所に手が届く」写真集であった。
即、買い求めたのは言うまでも無い。
食事処の「バンパース」はバンフ市街の外れ(ボウ橋とは反対側)にあるホテルの1階に入居しているレストランである。
この店も、もの凄い大きさのステーキが出るそうであるが、我々が予約しているのは、JTB特注のセットメニューなので、ステーキは適度な大きさであった。前菜はバイキングになっている。
飲み物はビールを注文し、食事を始める。
そのうちに、アルバータ牛のステーキが運ばれて来た。ステーキの横には、山葵と同じ様な鼻に抜ける香辛料が付いていたが、テーブルに醤油が置いてなかったので、持って来て貰った。
この店にも、日本人客が何組も来ていたが、その中に年配のグループがいて、70歳を越えていそうなお婆ちゃんが、簡単な単語中心の英語で、しかし、手慣れた会話で、ビールやワインを注文しており、旅慣れた様子であった。海外旅行3度目の私には とてもマネが出来ない英会話能力である。
食事を終えてカード精算して貰ったが、バンフの店では、カード精算の際には店員がテーブルにカード読み取り端末を持って来て、お客さん自らが、端末にカードをスキャンさせて、精算金額を入力する様になっているので、カード不正利用される心配が無くて良い。
端末の操作をしていたら、「チップ精算の方法」を以下の番号で選択する画面が出て来た。この中から選択する様である。
(1)チップ額
(2)料金の15%
(3)No Tip
この店の支払は、「JTBのミールクーポン」で前払いしているが、クーポンには、「チップも含まれており、チップを渡す必要なし」と聞いていたので(3)を選択。
店員さんは、「Oh、No Tip」と言って、一瞬驚いた様な顔をしたが、「Thank You」と言って送り出してくれた。
店を出たあとになって、よくよく考えて見ると、追加注文したビールの分は、チップを渡すのが順当だったのかも知れない。まあ後の祭りである。
このチップと言う習慣は、慣れないので本当に気を使う。
今回の旅行でも、チップのためだけに、日本で両替してカナダドルを準備した様なものである。
サービス料として、料金に加算して徴収するなりして、精算を簡単にして欲しいと思うのだが、まあ、こればかりは仕方がないのだろう。
バスでホテルに帰り、旅行3日目も無事終了である。
(つづく)