徒然なるままに(2011.9.18)


徒然なるままに(2011.9.18)
2011年9月18日(日) 晴れ
更新:2023年9月18日(月)
 
■ピアノコンサート
 
9月11日、カミサン、娘と3人で及川浩治さんのピアノコンサートに行って来た。
昼前に銀座で娘と合流し、銀座ライオンのビアホールでランチを取ったあと、赤坂にあるサントリーホールへ。
 
正面に大きなパイプオルガンのあるサントリーホールは、テレビでは何度か見たことがあるが、訪れるのは今回が初めてである。
ホールは思っていたほど大きくはなく、コンサートホールに良くある大ホールと小ホールの中間くらいの広さであった。
 
リストは、「ピアノの魔術師」と呼ばれた作曲家であるが、今年はリストの生誕200年なんだそうであり、それに因んでか、今回のコンサートの内容は全曲リストの作品であった。
演奏曲は、誰でも一度は聴いたことがあるメジャーな曲「愛の夢」のほか、フジ子・ヘミングさんの演奏などにより一般にも知られる様になって来た「ラ・カンパネラ」など8曲、アンコール2曲を合わせると10曲の演奏であった。
カンパネラは、聴いているだけなら美しいメロディーの曲なのだが、実は2オクターブ(30cm以上)離れた二つの鍵盤の間を、右手が左右に高速に反復する難曲であり、まさに超絶技巧と言われる曲である。私の会社の知り合いで子供の頃からピアノを弾いていた人(男性)に言わせると、この曲を弾くには技術力と言うよりは体力勝負なんだとか。
 
今回の演奏の中では、私はメフィストワルツが素晴らしいと思った。カミサンと娘の評は、共通していたが、「テクニックは凄いけど、ちょっと面白みに欠ける演奏だなあ」との事であった。
その面白みと言う点で、カミサンが最近気に入っている演奏家は「ゲキちゃん」とカミサンが呼んでいるクロアチア人のピアニストケマル・ゲキチ氏である。2年前に彼のコンサートに行ったことがあるが、独特の表現で強く印象に残っている。
そのゲキちゃんのコンサートが10月にあるので、またカミサンと行くことにした。こちらのコンサートも、今回は生誕200年を記念して全曲リストなのだそうである。カンパネラもメフィストワルツも弾くそうなので、及川さんとの表現の違いを楽しめそうである。
 
■はやぶさ
 
お恥ずかしい話であるが、「はやぶさ」のことは全く知らなかった。
会社で講演会の案内があり、宇宙に関するテーマで面白そうだったので講演会に参加することにしたのだが、講演テーマになっている「はやぶさ」なるものが、奇跡の生還を遂げた惑星探査機であることも、奇跡の生還を遂げたと言うことも全く知らなかったのである。
 
「はやぶさに懸けた夢」と題された講演は、9月14日、川崎市の武蔵中原にある「エポック中原」で行われた。講演者はJAXA(宇宙航空研究開発機構)名誉教授の的川泰宣(まとがわやすのり)氏。
宇宙の起源から話が始まったのだが、ビッグバン(宇宙の始まり)が起こったのが137億年前、太陽系が出来たのが46億年前、その後、人類の出現、文明の出現(農耕の開始)と続くのだが、そのままの表現では時間の長さ感覚が分かりにくいと言うことで、ビックバンから現代までを1年間に例えて話されたのが面白かった。
それによると、1月1日の00:00:00にビッグバンが起こったとして、太陽系が出来たのは、秋になってから(9月に入ってから)、文明が始まったのは何と、「紅白歌合戦」が終わって「ゆく年くる年」も半ばに差し掛かった12月31日の23:59:30あたりなのだそうである。文明が始まってまだ30秒しか経ってないそうである。
 
それから、講演の中では、東北大震災の話やリーダシップの話などが織り込まれて話されていたが、この3.11以降、世界の日本を見る目が大きく変わったそうである。それまでは、日本人はエコノミック・アニマルと言う言葉で表現される様に、何でも得られるものは得る、得る為に活動すると言う「受容」の民族だと思われていたそうだが、東北大震災での被災者の映像が世界中に流れて、支援物資の配給を騒ぐことなく整然と並んで待つ被災者の姿、自分より他人を先にという被災者の姿を見て、日本人の精神的なレベルの高さに感服し、日本人感が大きく変わったのだそうである。
的川氏は、『確かにこれまでの日本人は、明治維新以来、「世界に追いつけ追い越せ」で何でも受容し、戦後の焼け野原からの復活に際しても、ガムシャラに新しいものを受容して右肩上がりの成長を続けて来たけど、これからは、受容だけではなく外に発信して行くことが日本の使命 になる、そのためには、今の小学生くらいの世代が その中心になる訳であり、その世代の考え方が変わっていく様にすることが重要である』と言われていた。
 
話の中の余談として、以前よりアメリカ人の友人から、「日本では、何故、毎年、総理大臣が変わるのか。そんな国は世界中に他にはない」と聞かれていたのだが、東北大震災のニュースを見て、その友人が「一つ分かったことがある」と言ったのだそうである。それは、「日本人は政治に期待していない」と言うことである。笑っちゃいけないが、確かに当たっている。
 
本題の「はやぶさ」のお話は、発生したトラブルの話を中心に講演されたが、「はやぶさ」に付いている3種類のエンジンのトラブルのお話であった。
最終的には、この3種類のエンジンが三つとも故障して動かなくなり、打つ手が無くなったのだが、人間の智恵と努力で奇跡の生還を遂げたと言うお話であった。話の中には、「星野君の二塁打」の話や、リーダシップの話に繋がる内容が織り込まれていて、素晴らしい講演であった。
「はやぶさ」の話は、来年早々にも映画化が3社で進んでいるそうであり、西田敏行さんがプロジェクトマネージャの役をやるそうである。