その日のまえに


その日のまえに
2010年5月18日(火) 晴れ
 
本日は、一日、社外セミナーを受講しに目黒雅叙園に行って来た。たまには、日常の仕事を忘れて、こういうセミナーを受講して自己啓発するのもいい。
 
さて、今日は、本の話をする。
私は、短編小説と言うものが余り好きではない。短いページ数の中で面白かったと感じさせてくれるモノが少ないからである。だから本を買う時には、好きな作家の作品であっても短編集は絶対に買わない様にしている。
本日読み終えた本、題名は「その日の前に」と言う本である。初めて読む作家の作品である。重松清さんと言う方である。
 
実はこの本を買う時には、これが短編集だとは思いもしなかったのだが、読み始めてみると、「死」をテーマにした短編集であった。それぞれの短編はまずまずの内容なのだが、どうも短編の寄せ集めという気がして今ひとつ期待感が膨らまず、途中で読むのを中断して数ヶ月が経過していたのである。
ところが、最近になって読むのを再開したところ、少しずつ話に引き込まれる様になり、最後の3編に入ってからは、それまで短編集の寄せ集めだと思っていた それぞれの話が、実は最後に繋がっている展開であることが分かったのである。
そして、その最後から3番目の題名が、「その日のまえに」。長年連れ添った相手(奥さん)が病で亡くなる日までを描いた内容である。
読んでいると、どうしても残された男の立場を自分に置き換えてしまい、当たり前の様にいるべき人が「その日」以降いなくなってしまうことを想像すると胸が痛くなってしまうのである。
 
そして、最後の話「その日のあとで」では、奥さんが亡くなってから3ヶ月が経ち、奥さんから頼まれていた看護師さんが持ってきた奥さんからご主人への手紙。
そこに書かれていた、たった一行のメッセージ。グッと来るメッセージである。これから読む方がいるかもしれないので、ここでは書かないが。
 
また、しばらくしたら重松さんの本を読んでみようかと思う。